ジュリア・フィリップス

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消失の惑星

ジュリア・フィリップス

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784152100030
ISBN 10 : 4152100036
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2021
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:
井上里 ,  

Content Description

8月のある午後、ロシア東部のカムチャツカ半島の街で、幼い姉妹が行方不明になった。警察の捜査は難航し、事故か誘拐かもわらぬまま時ばかりが過ぎる。失踪事件は、半島中の女性たちに影を落としてゆく。姉妹の母親、2人を最後に目撃した研究者、心配性の恋人に束縛される大学生、自身も失踪した娘をもつ先住民族の母親…ばらばらに生きてきた12人の女性の言葉がつながるとき、事件はふたたび動き出す。カムチャツカの美しい情景、そこに生きる女性たちの痛みと希望を克明に描き、世界から注目される米国作家による文芸作品。2019年全米図書賞最終候補作、23の言語で翻訳決定。

【著者紹介】
ジュリア・フィリップス : 1989年、アメリカ・ニュージャージー州生まれ。高校生の頃からロシアに興味をもち、名門バーナードカレッジでロシア文学を学び、学部在学中に4カ月間モスクワへ留学。また、ニューヨークにある非営利団体の犯罪被害者支援センターで長く働いていた。最初のリサーチから約10年をかけて書き上げ、2019年『消失の惑星』を発表。デビュー作(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • buchipanda3

    ロシアの東の果て、カムチャツカ半島の今を生きる女性たちを描いた小説。幼いロシア人姉妹の失踪事件は、国の体制が変化した後もその閉じた土地に残る古い価値観に傷つけられている女性たちの複雑な心情に影響を与えていく。先住民や自立した女性への偏見、自身の閉塞感と欲望、そして喪失の苦しみ。アメリカ人の著者がなぜロシアを舞台にと思ったが、本作の主題は場所に依らないことに気付く。物語では各篇の人間関係が繋がり合う。一面的な視点で単純化せず、根にあるものがより現実的に描かれていた。人は過去の苦しみと喜びを抱え、そして前へ。

  • chantal(シャンタール)

    「消失の惑星」とは?首都モスクワから7千キロ離れたカムチャッカ半島。日本の方がずっと近い。半島そのものが1200キロもあり、本土と繋がる陸路はない。北には広大なツンドラが広がり、多くの先住民族がいる。作者が「消えてしまうには理想的な場所」と言うのもうなづける。幼い姉妹の失踪から始まる物語はこの半島で暮らす様々な女性たちの物語を繋いで行く。曾ての祖国が無くなってしまうこと、民族間の埋めることの出来ない溝、厳しい冬。何もかもが未知のもので、こんな世界もあるのかと、オホーツク海を漂うような気持ちで読んでいた。

  • アキ

    カムチャッカ半島に生きる4つの家族の人々を巡る13章は、それぞれが短編集のように完成され、少しずつ重なり合う人生のように連なってある結末に至る。船か飛行機でしか移動できない地区、モスクワと9時間の時差があり、旧ソ連の共産党時代と移民が増えた資本主義導入後の社会、そして先住民とロシア人とが混在する。この半島はどこへ行こうと知り合いに出くわしてしまうほど狭く、それでいて娘2人を失ってしまう程広い。広くて狭い半島の閉塞感が女性の暮らしや感情に影響を及ぼしている様を著者は淡々と描く。デビュー作だが完成された世界。

  • (C17H26O4)

    エピローグのような7月の章は描かれた方がよかったのだろうか。単純に希望として捉えるべきか。すっきりしない読後ではある。ラストの先を考える。どちらにしても女性たちのおかれた環境、周囲の状況に関していえば、その先もほぼ変わることはないのではないだろうか。カムチャツカ半島の海沿いの小さな街で起きた幼い姉妹の行方不明事件を軸に、そこに暮らす女性たちの苦悩やあがきが次々と描かれる。狭いコミュニテイ内での民族差別、女性差別、世代間の分かり合えなさに閉塞感を感じ続けながらの読書だった。

  • アナーキー靴下

    幼い姉妹の失踪事件が結びつける連作短篇。本の帯は今後変わっていくのだろうけど、今手もとにある本にかかっている帯(読メにも表示されている帯)の、「この痛みから、目を背けることはできない」という言葉は、登場人物を結びつけるもう一つの線。逃れられない、自業自得の呪い。現実的な確率や責任割合など関係なく、ほんの僅かでも、その結果を避ける選択が取れる可能性があった、その事実が、痛みとして自身を責め苛む。何かしらの別れを抱えた女性たちは、物理的な消失時点ではなく、消失を自覚したとき、鮮やかな眩暈を経て、歩き始める。

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