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無垢の博物館 上

オルハン・パムク

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784152091802
ISBN 10 : 4152091800
Format
Books
Publisher
Release Date
December/2010
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

30歳のケマルは、一族の輸入会社の社長を務め、業績は上々。順風満帆な人生を送っていたが、遠縁の娘・フュスンと再会し…。トルコの近代化を背景に、ただ愛に忠実に生きた男の数奇な一生を描く、著者渾身の長篇。

【著者紹介】
オルハン・パムク : 1952年、イスタンブル生まれ。トルコ初のノーベル文学賞作家。コロンビア大学教授。イスタンブル理工大学で建築を学んだ後、イスタンブル大学でジャーナリズムの学位を修得。その後、コロンビア大学客員研究員としてアメリカに滞在した。1982年発表のデビュー作『ジェヴデット氏と息子たち』(未訳)がトルコで最も権威のあるオルハン・ケマル小説賞を受賞。その後に発表した作品もトルコ、ヨーロッパの主要文学賞に輝き、世界的な名声を確立する

宮下遼 : 東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学、日本学術振興会特別研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • どんぐり

    婚約者がいながら、18歳の美しい女性に魅かれていくイスタンブルの実業家。婚約者を捨てるほどにのめり込み、やがて相手の持っていたものに耽溺していく。思い出が残る品々を口に含み、あるいは肌に擦りつけながら彼女を想って涙に暮れる男の懊悩する日々がグダグタと語られる。パムクの描くフェチっぽく倒錯した男の偏愛物語、下巻へ続く。

  • 長谷川透

    再読。オルハン・パムクはトルコの作家であるが、彼はトルコという国を遠い視座から書く作家である。イスラム圏にありながら飲酒に寛容であるなど、中東諸国から見ると異色のイスラム国である。この小説はヨーロッパから見れば非西洋圏であるこの国の若者たちのイスラム=トルコ的な伝統からの「目醒め」を描き、ケマルとフュスンのアバンチュールを中心に据えて語ることで、トルコの近代における葛藤を見事に描いている。特に主人公ケマルは伝統的な柵を蔑んでいるように見えて、実のところ、その柵の中から脱却する度胸がないようである。

  • 秋良

    七十年代のイスタンブール、婚約中の金持ち息子が年下女子と浮気するところから始まるメロドラマ。に、西洋的価値観とイスラム的価値観の狭間で揺れる当時のトルコの人々の様子が垣間見れる。トルコ人の恋愛は暑苦しいって聞いたことがあるので、浮気相手に去られて読み手が引くぐらい悶々とするのは国民性もあるのかも。まあ自分の婚約式に浮気相手を呼ぶのはどこの国でもクズの所業だよ(笑)

  • gogo

    イスタンブールが舞台の小説。上流階級の30男が、遠戚の娘に恋し、それが原因で婚約者と破局する物語。恋煩いで奇行に走る主人公の姿は、客観的に読めばバカとしかいえない。一方、恋の病は誰にとっても心身をボロボロにする危険を孕んでいることを、執拗に見せつけられた感がある。この本で描かれる1970年代のイスタンブール上流階級はかなり世俗化している。しかし、伝統的価値規範やイスラームが絡んで、完全な自由恋愛はできないし、女性の立場はかなり弱い。西洋っぽく見えても、そうでないトルコの社会と人々の姿も垣間見える。

  • 春ドーナツ

    私は思うのですが、主人公の青年を「しみったれた奴だ」と一言で片付けることはたやすい。けれどもそこに文学のエキスが濃厚に満ちているのです。物語はゴールをどれだけ細密に語っても読者の心をつかむことはできないでしょう。ゴールとは小説を閉じるためのオマケのようなもので、私たちを惹きつけるのはゴールへと至る過程なのです。しみったれであればある程、物語は豊かになるのです。青年の傲慢な苦悩がプロットを動かす駆動力となるのです。これは「グレート・ギャツビー」や「ノルウェイの森」にも同じことが言えるのではないでしょうか。

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