エミリー・ラスコヴィッチ

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アイダホ エクス・リブリス

エミリー・ラスコヴィッチ

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784560090756
ISBN 10 : 4560090750
Format
Books
Publisher
Release Date
August/2022
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

アイダホの山中に住む音楽教師のアンは、歳の離れた夫ウエイドのかつての家族のことを何年も思い続けている。九年前、一家が薪を取りに出かけた山で、ウエイドの前妻ジェニーが末娘メイを手にかけ、上の娘ジューンはその瞬間を目撃、ショックで森に逃げこみ失踪した。数年おきに当局から最新のジューンの捜索用写真が送られてくるが、最近のウエイドは若年性認知症の進行により、事件のことも、娘がいたこともわからないときがある。ジェニーは、罰を受けること以外、何も望まず誰とも交わらずに刑に服してきたが、同房になったエリザベスとあることをきっかけにぎこちないやりとりが始まる。アンは夫のいまだ癒えぬ心に寄り添いたいと願い、事件に立ち入ることを躊躇いながらも、一家の名残をたどり、断片を繋ぎ合わせていく…。厳しく美しいアイダホの大自然を舞台に、日常が一瞬で打ち砕かれる儚さ、愛よりも深い絆、贖罪を、静謐な筆致で鋭く繊細に描く。2019年度国際ダブリン文学賞受賞作。

【著者紹介】
エミリー・ラスコヴィッチ : 作家。アイダホ北部で育つ。アイオワ大学創作科で修士号を取得。大学で創作を教えるかたわら、「ゾエトロープ」「ワン・ストーリー」「ニューヨーク・タイムズ」等に作品を寄稿。2015年に短篇“Owl”でO・ヘンリー賞を受賞。本書『アイダホ』は2017年発表の長篇第一作。「ロサンゼルス・タイムズ」でベストセラーとなるなど大きな注目を集め、ディラン・トマス賞、アメリカ探偵作家クラブ賞新人賞、ニューヨーク公共図書館若獅子賞の最終候補に選ばれ、2019年には国際ダブリン文学賞を受賞した

小竹由美子 : 英米文学翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • buchipanda3

    「わたしがここにいるのはあなたがここにいないから」。アイダホはアメリカ北西部にある山岳地帯の州。著者の故郷で、本作にはそこでの生活の記憶が散りばめられているそうだ。そして物語も登場人物の記憶の断片がコラージュのように繋ぎ合わさっていく。多くは悲しい過去と厳しい現実を背負ったもの。娘を失い、その記憶を失う男。でも喪失の痛みは失わない。その姿に寄り添うアン。それは愛からだが不明の呵責に囚われる。人生は理屈ばかりで語れない。代わりに時間が過ぎ去る。それは救いか。最後の二人の会話を読みながらそんなことを思った。

  • ヘラジカ

    感想を書くのが非常に難しい。失われゆく記憶を共に辿るかのように錯綜するエピソードは、幻惑と悲壮な現実を同時に感じさせる。しかし、詩的な文章に呑まれる瞬間がある一方で、どうにも散漫で乗り切れず、気持ちが上滑りしている瞬間もあった。成程、マリリン・ロビンソンの傑作『ハウス・キーピング』の名前が挙がる理由はよく分かる。こちらは傑作と評することは出来ないけれど、デビュー作としては力強く、読んでいて胸内に紛いものではない”痛み”を生み出す作品なのは確かだ。白水社にしては珍しく誤字脱字が目立つのはとても残念。

  • ちえ

    並行している二人の女性の「現在」に挟まる多様な人々の視点で語られるそれぞれの過去。初めは戸惑いながら、読むうちに彼らの悲しみに、なんでもない過去の出来事の輝きに、心が打たれている。特に子供たちの日常や心の動き。決して上書きされることのない記憶は、それを知る人がいなくなった後何処へ行くのだろう。ぽかりと浮かんでいるようなその過去に、とてつもない悲しみと辛さ、痛みを感じながら読んだ。静かでありながらとても大きなエネルギーを感じる2019年度国際ダブリン文学賞受賞作。

  • ぽてち

    著者の長篇デビュー作らしい。みっちり詰まった本文は358ページ。久しぶりに重量級の翻訳作品を読んだ。アイダホの山中に住む一家4人に、ある日起きた凄惨な事件を描く。この事件で平和だった暮らしは終わり、一家はバラバラになる。だがその事件の詳細はぼかされていて、読者としてはこの物語の行き先が気になる。実は犯人は別人なのではないか。あるいは超自然的な展開になるのか。行方不明の少女は見つかるのか。細部に至るまで綿密に書き込まれておりとてもリアルに感じたが小説として大きな盛り上がりはない。それもまた現実的ではあるが。

  • 愛玉子

    厳しくも美しい自然に囲まれた山中で暮らすある一家に起こったこと。それはまるで湖に乱暴に投げ込まれた石が波紋だけをゆらゆらと残すように、記憶も、人も、その人を思い出させる物も喪われてゆくなかで、悲しみだけがいつまでも思いがけず新鮮に心を揺らす。記憶の欠片を拾い集め、その切っ先で新たに傷を作りながら、それでも共にありたいと願う気持ちを何と呼べばいいのだろう。記憶と想像が溶け合い、満ちる。キンポウゲの黄色い影、「あなたが見つけた良いことを、手放さないでいますように」という静かな祈り。最後の一行が深い余韻を残す。

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