基本情報
内容詳細
恋愛、家族愛、祖国愛―18世紀の啓蒙時代、近代化の中で孤立した人々が求めたのは、宗教でもナショナリズムでもなく「愛」だった。ドイツ語圏の啓蒙時代を新しく「愛の時代」ととらえ、レンツとシラーのテクストを中心に「愛の時代」に生まれたさまざまな言説を分析。市民知識層のアイデンティティ形成の主軸が「道徳」から「ナショナリズム」へ変化した過程を批判的に再構築する。
目次 : 第1章 主体的なものと規範的なもの―愛をめぐる言説と市民的アイデンティティ(市民的なものと愛/ 啓蒙時代における愛の観念の変化 ほか)/ 第2章 J.M.R.レンツ―「愛の時代」をめぐる寓話(『哲学者は友達によって作られる』における友情と恋愛/ 「自伝」としての恋物語―『森の隠者』 ほか)/ 第3章 フリードリヒ・シラーにおける愛と政治(1)(シラーにおける愛の特徴―『ドン・カルロス』を糸口に/ 『マルタ騎士団』論―フリードリヒ・シラーにおける「男同士の愛」 ほか)/ 第4章 一八世紀後期における「政治的な愛」の諸相―ヴィーラント、シューバルト、ハイン同盟(市民的な言説空間の発展/ コスモポリタニズム―ヴィーラントを中心に ほか)/ 第5章 フリードリヒ・シラーにおける愛と政治(2)(『オルレアンの処女』と一八〇〇年前後のドイツ/ 「政治的な愛」をめぐる新たな葛藤―『ヴィルヘルム・テル』における愛と政治)/ 終章(愛国とジェンダー―愛の言説の二面性/ A.W.イフラントの家庭劇―「国父イデオロギー」とジェンダー規範 ほか)
【著者紹介】
菅利恵 : 1971年福岡県生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程満期退学。2008年京都大学大学院人間・環境学研究科にて博士(人間・環境学)号取得。三重大学准教授。専門分野はドイツ文学、ドイツ文化史(主として18、19世紀演劇)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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