基本情報
内容詳細
ソ連崩壊後の混乱と怒りと屈辱感は、今から150年前のクリミア戦争の敗北から農奴解放、革命へと向かう一大転換期の時代と類似点が極めて多い。ドストエフスキーはこの時期、大作の執筆の傍ら、雑誌に連載した『作家の日記』の評論で、スラヴ派の論客として政治、社会評論家として精力的に活動したが、その主張や当時の対ヨーロッパについての屈折した視点や感情は、現代のロシアの行動を理解する上では不可欠である。プーチンに率いられる現代ロシアの強力なナショナリズム、大国意識の底にあるスラブ主義の本質に迫る。
目次 : 第1部 沸騰するロシア・ナショナリズムのマグマ(ソビエト連邦の崩壊/ チェチェン人との戦い)/ 第2部 爆発するロシア・ナショナリズム(モルドヴァの“沿ドニエストル共和国”/ グルジア(ジョージア)のアブハジアと南オセチア ほか)/ 第3部 ロシア・ナショナリズムの源流(領土に固執する民族の“遺伝子”/ ロシア・ナショナリズムの形成 ほか)/ 第4部 ドストエフスキーとロシア・ナショナリズム(一九世紀後半の東方問題/ ドストエフスキーと『作家の日記』 ほか)/ 第5部 付録:ペトラシェフスキー事件―ロシア思想史の断章(ロシア民族の進むべき道をめぐって/ ドストエフスキーの弁明と真相)
【著者紹介】
植田樹 : 1940年生まれ。東京外国語大学ロシア科卒業。日本放送協会(NHK)に記者として入局。元モスクワ特派員(旧ソ連・東欧担当)、ニューデリー特派員(南西アジア担当)、ワルシャワ移動特派員(ワレサの連帯運動)、テヘラン移動特派員(ホメイニ革命、イラン・イラク戦争)、解説委員。元・日ロ交流協会顧問、副会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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