トゥルーブラッド<セカンド>コンプリート・セット

シーズンを重ねるごとに視聴者数を大幅に増やし、2010年もエミー賞で5部門にノミネートされた『トゥルーブラッド』。今や米ケーブルチャンネルHBOの看板番組として君臨するこの大ヒットシリーズが、早くもセカンド・シーズンに突入。

前シーズンでは人間とヴァンパイアの種族を超えたロマンス、小さな田舎町ボン・タンで起きる血生臭い連続殺人事件の2つに物語の焦点を絞りながら、全く違う世界に属する者同士がお互いに差別や偏見を乗り越えて理解し合うことは出来るのか？という大きなテーマのもと、宗教やセックス、貧困など現代アメリカにおける深刻で根深い社会問題を浮き彫りにした。

そして、今回のセカンド・シーズンでは引き続き主人公スーキーとビルの種族を超えたロマンスを主軸にしつつ、ヴァンパイアと人間による激しい対立の裏でうごめく陰謀、ボン・タンの町を阿鼻叫喚のパニックに陥れる怪現象の謎が展開。人類にとって永遠のテーマとも言える宗教と神、生と死、権力と欲望、そして愛と憎しみの物語が描かれていく。

まず、スーキーとビルはバー“ファングタジア”のオーナー、エリックの依頼でテキサス州のダラスへ向かうことに。1000年以上前にエリックをヴァンパイアにした“メーカー（生みの親）”であり、強大な力を持つ大物ヴァンパイア、ゴドリックが消息を絶ってしまったことから、スーキーの特殊な能力を使ってその行方を探そうというのだ。テキサスには反ヴァンパイアを掲げる宗教団体“太陽教団”の本拠地があり、おのずと彼らに疑いの目が向けられる。

だが、その太陽教団にはスーキーの兄ジェイソンが加入していた。善良だが単純で騙されやすいジェイソンは教団を率いるニューリン牧師の教えにすっかり心酔し、その活動に貢献することこそ神の御心だと信じるようになっていく。教団の恐るべき実態など、彼には知る由もなかったのだ。

一方、連続殺人事件が一件落着して平和を取り戻したかに見えたボン・タンでも、にわかに不穏な空気が漂い始めていた。スーキーの親友タラの信頼を得たミステリアスな女性マリアンは、徐々に町での存在感を大きくしていく。だが、過去にマリアンと関わりのあったマーロッテのオーナー、サムは、彼女が邪悪な本性の持ち主であることを見抜いていた。果たして、マリアンは何を企んでいるのか？そして、彼女の正体とは？やがて事態は町の住人全員を巻き込んだ狂乱のパニックへと暴走していく。

ゴドリック捜索の過程で浮き彫りになっていくヴァンパイアたちの醜い対立。人間との共存を目指す彼らも内部では一枚岩ではなかった。それは敵対する太陽教団も同じ。宗教の名のもとに大義名分を掲げるニューリン神父の真の目的とは何なのか？このヴァンパイア対太陽教団の争いがシーズン前半の見どころなのだが、その背景には宗教団体が政治的影響力を増しつつある今のアメリカ社会、そしていつ終わるとも知れないアメリカとイスラム教社会の反目に対する、作り手側の危機感と警鐘が読み取れるだろう。

さらに、シーズン後半の重要な鍵となるマリアンの正体にも古代宗教の恐ろしい伝説が絡んでおり、こうした宗教や権力を巡る血生臭いドラマを通じて、“神”という概念の曖昧さと信仰心の危うさといったものが巧みに描きこまれているのだ。

このようなスケール感のある物語と奥の深いテーマを、過激なバイオレンスと性描写で大胆に描いていくセカンド・シーズン。想像を絶するような恐怖と過酷な試練に次々と挑みながら、いかにしてスーキーとビルがお互いの絆を深めあっていくのかという点も注目だ。また、スーキーを我がものにせんとするエリックの思惑と策略も大いに気になるところ。

さらに、人間らしさを残した新米ヴァンパイア、ジェシカの純朴な淡いロマンスも随所に描かれ、緊迫したストーリーに束の間の安らぎを与えてくれる。

アラン・ボール製作総指揮＆脚本、アンナ・パキン主演による新時代ヴァンパイア・サスペンスのセカンド・シーズン。人の心が読める能力を持つ人間の女性とヴァンパイアの男性による壮絶愛を、血なまぐさい殺人事件の謎を絡めて描く。(CDジャーナル　データベースより)