パンクやエレクトロポップの猛威も収まり、プログロックその他のヴェテラン勢がふたたび作品を世に問う気運が高まる今日このごろだが、そんなリハビリテイション後に歩けるようになった、口が回るようになった、といった次元のものとは比較にならない傑作。つまらぬ時代に才能の浪費をしなかったのは、やはり伊達ではない。ヴァシュティさんは普通の感覚の普通のひとだと思うが、なぜ作品はこうも非凡なのだろう。

なんて心やさしい安らかな音楽なのだろう。かすかな木漏れ日が瞼を照らして目覚めさせてくれるような息づかいの名品ばかり、あるいは懐かしの大地に抱かれて揺り籠に揺られているかのよう。これを聴くと歌の巧いヘタなどという観点は何なのだろうとつくづく思う。理想像を表わしたという動物たちの愛らしいジャケット、薄日でヴァシュティの影が白い漆喰に差している演出なんて実に心憎い。もうあの時代には帰れない、べつに美化するわけではなくて。

或る意味ド迫力、などと書くと誤解を招くかも知れぬ、絶品中の絶品聴かぬは一生の損だと思う、きっと。

世紀が変わったというのにこれほど上質の復活作をものするなんてやはり只者ではない。いまだかつてそんなことをやり遂げたひとを知らず、はっきり言って異常な事態。７０年代に滅んだと思われたブリティッシュ・フォークロックの傑作群のひとつに明らかに名を連ねるだろう。３５年昔の前作は凄烈な美に思わずゾクッとするが、こちらは清らかな自然美が流露する。

今年35年ぶりに復活したというので視聴したところ、驚いたなァ。録音技術により多少音像が明瞭になった以外はまったく何も変わっていないので“Lookaftering”のHMVリヴューは本当の話だった。正真正銘、筋金入りの(高品質)マイペースサウンド、ここまで来ると畑は違うが米国の童話・ガーデニング作家のターシャ・チューダーのようにその生き方にも一目置いてしまう。

(↓)まったく変わっていないのはヴァニヤンの歌声、最新作はアレンジが本作よりは少し派手め。それはともかく、“すばらしい”の前評取り消し、最高ですいわゆる“ブリティッシュ(・フォーク)”の真髄です、ジンと来た。いまだもってシャーリー・コリンズのどこがいいのか理解に苦しむ私も素直に感動できた。いまの季節にもぴったり。

超よいです〜♪（＾＾☆）ニックドレイクより個人的には好きですお〜♪ ACID入ってないみたいだしぃ〜（＠＠ ウワサのまんまの超名盤ですお（＾＾