【中古:盤質B】 All That You Cant Leave Behind

U2のオリジナル・アルバムとしては3年ぶりとなる待望の新作到着！モノクロームのU2が帰ってきた！ジャケットはあのアントン・コービンによるもの、と思わず外ワクから説明してしまいましたが、中身の方も「あのU2」です。プロデュースにブライアン・イーノ、ダニエル・ラノワ、ミックスにスティーヴ・リリーホワイト、というあの強力布陣！ファンならば90年代＝「電脳三部作」のディケイドにもU2の不器用なまでの個性、フレーズを聴き取っていたはずですが、今回はそんな回りくどい鑑賞は不要です。「アメリカ巡礼三部作」期の楽曲をも見据えた感触に、その電脳U2で培った音響処理/空間の使い方の妙を加えた、正に紆余曲折を経ながらキャリアを築いた者にしか出せない深みあるサウンドを全面的に押し出してきてくれてます。また今作のエピソードとして面白いのが、「アメリカ巡礼三部作」の引き金になったといわれるサン・シティでのキース・リチャーズとの邂逅にも匹敵するような出来事。前作を手掛けたハウイー・BがU2のツアー・リハーサルを見て彼らの過激なサウンドに驚きを表したのがキッカケで、それがメンバーを触発したというもの――ボノ曰く、ハウイー、これがロック・ミュージックってやつなんだ――く〜っ、そんなドラマチック過ぎるエピソードもU2ならではで、ほんと泣けてくる。本作でもエッジのギター・フレーズがアレンジの一部といった具合に「引きの美学」を見せているけど、初期ばりにアンサンブルを引っ張っていくような展開の曲もあったらなぁ、なんて贅沢すぎますね、ここまでやってくれたんだから。感無量。