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弱冠22歳の西海岸のアーティスト、Spencer Doran。哲学科の学生だった彼は、熱狂的なレコードコレクターでありDJでもある。ターンテーブルやラップトップ、サンプラーだけでなくあらゆる楽器の演奏もこなす。スペンサーは、06年3月にはSpencer Doran & Cloaks名義でアルバム『Echoplexia』を発表。アコギで生み出されたラフなスケッチを元に、サンプルと自身の演奏を絶妙のバランス感覚で調和、オーヴァーダブでレイヤーを重ねて完成されたスリリングな冒険心とオーガニックな色彩感覚が同居するその音楽は、「Animal Collective meets Scott Herren」とも評され、高い評価を受けた。そして06年10月には、本名Spencer Doran名義でアルバム『Puzzles』をリリース。05年に限定リリースされたEPの段階で既に熱心な早耳音楽ファンの間で話題となっていた彼のヒップホップ／サンプリングブレイクビーツプロジェクト作品。“万華鏡ビートコレクション”とでも言うべきこの傑作は無名の新人アーティストとしては異例のヒットとなり、スペンサーは次代のビートメイカーとして一躍その名を知らしめることになった。そして07年、彼の新たなプロジェクトが登場する。本作ではこれまでの作品を貫いていたヒップホップマナーは一切排され、Cloaks名義でのオーガニックなサウンドとエレクトニックなアプローチの融合がより深く探求されている。さらにBrian Enoとも関係の深い現代音楽家Jon Hassellやジャワ島のガムラン音楽、そしてSteve Reichからの影響も明らかだ。大地に響き渡るかのような壮大さと透き通るように軽やかな実験性を合わせたエレクトロ・オーガニックサイケデリア。若き天才の底知れぬ才能を垣間見せる作品。