【中古:盤質A】 ルイ13世のオーケストラ　サヴァール / コンセール・デ・ナシオン

典雅なるフランス･バロックの舞曲集
サヴァール　/　ルイ13世のオーケストラ
父親であるアンリ４世の暗殺により、９歳にして国王に即位したルイ13世[1601-1643]。母親との政治上の確執をはじめ、辣腕宰相リシュリューやユグノー教徒たちとの関わりに加え、三十年戦争や、農民一揆の多発など、短いながらも波乱に富む人生を歩んだ彼でしたが、音楽には幼い頃から親しみ、リュートとヴァイオリンのほか声楽のレッスンも受け、バレエ音楽の作曲までこなしたと言われています。
　この時代の音楽はいくつかの声楽曲を除いて散逸してしまいましたが、彼の息子であるルイ14世（サヴァールによる《太陽王ルイ14世のオーケストラ》は世界的なヒットを記録）の音楽番、アンドレ・ダニカン=フィリドール（長老フィリドール）の手によって、1690年に発掘され、舞曲を中心にまとめられて今日に伝えられています。

　その曲集は｢幼年期｣｢戴冠式｣｢結婚式｣｢1927年のコンサート｣｢晩年の宮廷音楽｣など、ルイ13世の生涯に沿って並べられており、このサヴァール盤では、これらの音楽を年代別に録音。
　手兵コンセール･デ･ナシオンを駆使し、24挺のヴァイオリン･オーケストラ「シャンブル・デュ・ロワ」、12本のオーボエ･バンド「グラン・エキュリー」などに、コルネットやパーカッションの加わった、当時の大編成オーケストラを忠実に再現しています。
　いずれの音楽も端正にして華やかなものですが、そこはかとない哀愁を感じさせるところもあり、非常に魅力的なものとなっています。
　レコーディングは1997年3月、2001年11月8,9,10日、および2002年2月1日と5日に、カタルーニャ地方のカルドナ城郭内にある聖ヴィセンス参事会教会でおこなわれており、さまざまな楽器の質感はもちろん、残響の美しさに至るまで完璧に捉えられています。
　Alia Vox は古楽界のカリスマ、ジョルディ・サヴァールによって創設されたレーベルで、企画力や音楽の内容はもちろん、録音にも大変なこだわりがあります。20数タイトルとまだまだ少数のカタログではありますが、すべてのタイトルが世界中から高い評価を得るという制作水準はまさに異例のもの。
　また、毎回驚愕さえ誘う完璧に仕上がった美麗なアート・ワークも大きな楽しみのひとつといえます。