West Hill Radio Archive (11CD)
モントゥー&ボストン交響楽団
1958-1959年コンサート・ライヴ
保存状態にムラはあるものの掘り出し物多数の内容!
巨匠ピエール・モントゥー[1875-1964]のコンサートのライヴ録音は、当時の彼の人気もあってか、数多くの公演が放送用収録の対象となり、年代の割りに良好な音質で残されているケースが多いのが特徴。
WHRA(West Hill Radio Archive)レーベルは、アメリカで放送用に収録された歴史的音源をCD化し、これまでマニアから少なからぬ注目を集めてきましたが、今回のモントゥー・ボックスは、1958年から1959年にかけて録音されているため、比較的音の条件が良く、保存状態にかなりムラがあるとは言え、曲によっては当時のライヴ録音としては破格の「高域まで入ったステレオ」という条件で収録されているのが嬉しいところです。特にレスピーギ編曲によるバッハのパッサカリアやメンデルスゾーンの『イタリア』などはクリアなステレオで状態もよく、見事な演奏を楽しむことができますが、中にはあまり音の良くないものも含まれていますので、あくまでもヒストリカル・ファン向けのセットと言えると思います。
音楽監督のミュンシュに招かれ、1951年から1960年までの10年間、毎年ボストン交響楽団の指揮台に立っていたモントゥーは、リハーサルが非常に巧く、しかもレパートリーが広大だった為、ドイツ=オーストリア系とロシア系、そしてフランス系の作品を中心に数多くの公演をおこなっていました。
今回のセットにもそういったレパートリーの傾向は反映されており、王道曲目を中心に、アイザック・スターンやルドルフ・ゼルキン、レオン・フライシャー、レオニード・コーガンといった名手たちを迎えての協奏曲も配されるなど、たいへん豪華な内容となっています。
すべて初出音源ということで、同曲異録音の比較も楽しめますが、中にはベートーヴェンの大フーガやヴァイオリン協奏曲、グリンカの『ルスランとリュドミラ』序曲、シューマンの『マンフレッド』序曲と『序奏とアレグロ・アパッショナート』、ブラームスのコラール前奏曲、ミヨーの『エウメニデス』といった初登場レパートリーや、一般初登場レパートリーとなる『ドン・キホーテ』など、非常に興味深いものもあるので見逃せません。(HMV)
【収録情報】
CD1:
1. ベートーヴェン/ワインガルトナー編:大フーガ
2. ドビュッシー:聖セバスティアンの殉教
3. R.シュトラウス:死と変容
4. R.シュトラウス:ドン・ファン
録音:1958年1月10日 モノラル(1-3)、1959年7月24日 ステレオ(4)
CD2:
1. ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
2. ブラームス:大学祝典序曲
3. ラヴェル:ラ・ヴァルス
4. ワーグナー:イゾルデの「愛の死」
レオニード・コーガン(ヴァイオリン:1)
録音:1958年1月10日 モノラル(1)、1958年7月20日 ステレオ(2)、1958年7月25日 ステレオ(3)、1959年8月1日 ステレオ(4)
CD3:
1. ブラームス:ピアノ協奏曲第1番
2. ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ
レオン・フライシャー(ピアノ:1)
録音:1958年7月20日 ステレオ
CD4:
1. グリンカ:『ルスランとリュドミラ』序曲
2. チャイコフスキー:交響曲第4番
3. ミヨー:『エウメニデス』
4. ドビュッシー:夜想曲
録音:1958年7月25日 ステレオ
CD5:
・ワーグナー:『パルジファル』より前奏曲
・ワーグナー:『パルジファル』より「私は子供を見た」
・ワーグナー:『ローエングリン』より前奏曲
・ワーグナー:『ローエングリン』よりエルザの夢
・ワーグナー:『リエンツィ』序曲
・ワーグナー:『さまよえるオランダ人』より序曲
・ワーグナー:『さまよえるオランダ人』よりゼンタのバラード
・ワーグナー:『ジークフリート』より森のささやき
・ワーグナー:『タンホイザー』より「厳かなこの広間よ」
・ワーグナー:ワルキューレの騎行
マーガレット・ハーショウ(ソプラノ)
録音:1958年8月3日 モノラル
CD6:
1. ベートーヴェン:『プロメテウスの創造物』
2. ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
3. ベートーヴェン:『レオノーレ』序曲第3番
バール・セノフスキー(ヴァイオリン:2)
録音:1958年8月9日 モノラル、ステレオ(2.3.)
CD7:
1. ブラームス:悲劇的序曲
2. ヒンデミット:気高き幻想
3. R.シュトラウス:ドン・キホーテ
4. リムスキー=コルサコフ:『金鶏』より序奏と行進曲
サミュエル・メイエス(チェロ:3)
ジョゼフ・デ・パスクァーレ(ヴィオラ:3)
録音:1959年1月23日 ステレオ(1-3)、1959年7月19日 ステレオ(4)
CD8:
1. ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
2. ダンディ:フランスの山人の歌による交響曲
3. チャイコフスキー:交響曲第5番
ニコール・アンリオ=シュヴァイツァー(ピアノ:2)
録音:1959年7月19日 ステレオ
CD9:
1. バッハ/レスピーギ編:パッサカリアとフーガ ハ短調
2. ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
3. ブラームス/トンプソン編:コラール前奏曲Op.122
アイザック・スターン(ヴァイオリン:2)
録音:1959年7月24日 ステレオ
CD10:
1. メンデルスゾーン:交響曲第4番
2. メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲第1番
3. シューマン:『マンフレッド』序曲
4. シューマン:序奏とアレグロ・アパッショナート
ルドルフ・ゼルキン(ピアノ:1,4)
録音:1959年8月1日 ステレオ
CD11:
1. ベートーヴェン:『フィデリオ』序曲
2. ベートーヴェン:交響曲第6番『田園』
3. ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』
録音:1959年8月8日 ステレオ
ボストン交響楽団
ピエール・モントゥー(指揮)