悪徳

チャーリー・キャスル（ジャック・パランツ）は、ここ７年間ハリウッドのスター俳優だが、かつて芸術的野心を抱いていたにもかかわらず通俗的な映画にしか出られないことに不満を持ち、撮影所との次の７年契約を打ち切ろうとしている。
彼はここ２年の間に３度、妻マリオン（アイダ・ルピノ）と別居している。マリオンはチャーリーが長期契約に応じないよう強く望んでいるが、作家でチャーリーの友人でもあるハンク（ウェズリー・アディ）に求婚されている。ハンクは近々ニューヨークに戻る予定だ。
チャーリーは家族と自分の理想のため、契約を断わる決意を固めたが、自己中心的で横暴で卑劣な撮影所社長のスタンリー・ホフ（ロッド・スタイガー）に押し切られ、契約書に署名する。
マリオンとの和解に失敗し、意気消沈し酔っ払ったチャーリーは専属広報バディ・ブリス（ポール・ラングドン）の浮気癖のある妻（ジーン・ヘイゲン）に誘惑され、一夜限りの関係を結ぶ。
別の夜、ホフの腹心の冷酷非情な部下スマイリー・コーイ（ウェンデル・コーリー）が、ホフが接待用に雇っている無名女優ディクシー・エヴァンズ（シェリー・ウィンターズ）が、チャーリーの秘密を漏らす恐れがあるとチャーリーに警告する。
かつてチャーリーはディクシーを乗せた車を運転中、子供をひき殺したが、ホフの指示でその罪をバディにかぶせ、バディを身代わりに刑務所に送っていたのだ。
スマイリーの指示に従い、チャーリーは口封じのためディクシーを電話で呼び出するが、彼女と一緒にいるところをマリオンに見られ、また和解の機会を逃してしまう。
その後、ディクシーはホフにたて突き、殴られて骨折する。彼女は事の真相を暴露すると言い出した。スキャンダルをもみ消すため、彼女の口を封じねばならない……。

【映像特典】
予告編

ロバート・オルドリッチ監督がハリウッドの裏幕を描いたサスペンスにして初期代表作。仕事に不満を抱き、妻とも別居しているスターのチャーリー。過去に犯したある罪が明るみになることを恐れた彼は、しだいにがんじがらめになっていく。(CDジャーナル　データベースより)