演奏者ルグランを楽しむには、本作品は最適。緊張感あるライヴで、この日の全曲を聴いてみたくなる（別のライヴ盤で演っている「オーソンズ・テーマ」など演ってるハズ）雰囲気上々の録音も好い。好き嫌いはあるが、ルグランのヴォーカル＆スキャットも聴けます。今流行の「拡張盤」などの企画再発を期待するライヴ。

1曲目の「 Nobody Knows」 が別格。幼馴染（それも死期を悟った男同志）が黄昏のバーで語り合っている。わずか８分強の中にドラマを感じる素晴らしい名演。

優美さを感じさせる名盤。この盤の原盤も販売中だが、いずれでもいいだろう。原盤のほうが曲が多い。こちらはまとまりがより優れている。ガーナー、バド、テイタムあたりの影響が見られるが、本当にピアノを美しく鳴らしているすばらしいとしか言いようがないアルバムだ。ピアノが十二分に歌っているのに、ルグランはトリオ編成でもVOを歌っている盤があり、要注意。声は不要。買う前に気をつけよう。冬の日の午後にも似合う。長く付き合いたいアルバム。SO　MUCH　GREAT

幸いにもDCC盤で聴いている。 おかげで音がすばらしい。現在のホーン入り最新録音で、これを凌ぐ音質のものは聴いたことがない。大抵主役の楽器のみよいが他はダメという結果に陥りがちだが、これはそんなことが全くない。アンサンブルもソロもすべての楽器は恐るべきエネルギーを放出し続ける。演奏自体もきわめて熱い。ファディス、ウッズ、マリガンらのいずれのソロも完璧だ。狂気をはらんだ傑作といえよう。

サド＆メルやベイシーもよく聴くが、これもまた素晴らしいビッグバンド作品。いかにもルグラン、いかにもフランス。”1”や”10”の急速調の曲のダイナミックで華麗な展開がたまらない。ルグランのアレンジは、一旦走り出したら次から次へとアイデアが溢れ出て止まらなくなる、といった感じ。アメリカものとは雰囲気が大きく異なるが、数十年 を経ても全く失われていないルグランの個性に強く惹かれる。

これも常備すべきアルバムとして価値がある。しかし、レコード会社にこれだけは言いたい。おまけで入っている”12”〜”14”のフルアルバムを復刻してほしい。リチャード・ロジャースのビッグバンド演奏集だが、”My Funny Valentine”の幽玄の美とも言うべき名演が隠されているのだ。

1920年代のアメリカとフランス。お互いが憧れを抱いていたときの蜜月がこのアルバムから醸し出される。ブルーな気分と晴れやかさの交錯。単なるムード音楽とは一線を画す複雑なオーケストレーションが素晴らしい効果を生む。惜しむらくは50年代のモノラル録音。ルグランが現代の録音技術で再演してくれたら。

いや、これも悪くないですよ。悪くない。しかし、SONYにこれだけは言いたい。何故”I Love Paris”ばかり何度も再発して、知る人ぞ知るかの傑作”Bonjour Paris”を復刻しないのか。同時代の録音の筈。モノクロームのフィルムノワールを見るような、灰色の石畳をコートの襟を立てて歩むようなあのサウンドをぜひDSDで再現すべきである。

ディスコグラフィーが充実していて、最高！ １９７２年、大阪厚生記念会館での初コンサートで大好きになった。栄光のルマンなどスクリーンに映し出されたのを思い出す。女性シンガーとのシェルブールの雨傘が良かった。 悲しいかな、その時のライブＬＰを買い損ねている。 中古レコード店めぐりが課題。

とにかく圧巻！ ミシェル・ルグランが録音したレコード、CDの全てがジャケットつきで掲載されたディスク・ガイド。 各盤の紹介と本人、関係者への取材、そして世界一（！）詳しいフィルモグラフィなどどれをとっても非のうちどころがない労作。 これ一冊あれば彼のすべてがわかるといっても過言ではない研究書の決定版。 なんと本人公認！！