2002年12月2日(月)、日本でも長い間高い人気を誇るピアニスト、“Mr.Left Alone”こと Mal Waldron がブリュッセルの病院で亡くなった。享年76歳だった。 マルは1926年8月16日、ニューヨ−クに生まれ、初めアルトサックスを演奏していたが、のちにピアノに転向、50年代初めにはIke Quebecのバンドのメンバーとして活躍。1954年から2年間、 Charles Mingus のバンドに加入、ジャズ史上不滅の名盤『直立猿人』に参加、一躍彼自身の名声を高めた。個人的にも Prestige Label に Mal 1Mal 2 などを吹き込んで着実に成長していたが、1957年最晩年の Billie Holiday の伴奏者として、貴重な経験を生かし、ビリーの死後、不滅の名曲 Left Alone を発表、アルバムにおける Jackie McLean の物哀しい音色と曲調が一緒になり、日本ジャズ喫茶史上最高の人気盤となった。 その後も、Eric Dolphy 不滅の名演At The Five Spot で、ピアニストとしての可能性を突き詰め“マル節”ともいえる、モ−ルス信号のように単純化した個性的な演奏で人気を博した。 日本を愛し度々来日、33年ぶりに今年アメリカに帰った Steve Lacy との共演盤で、奇しくも追悼盤となった One More Time のタイトルは、あまりにも示唆的なタイトルに聴こえる! マルが残したメロディはいつまでもジャズファンのこころに響き続けるだろう。冥福を祈りたい。