微熱

デジタル・ネイティブによる日本語アンビエントR＆B のこれはもう名盤!自主制作デビュー・アルバムを後世に残すためCD にします!!

2020s 日本の特異なインディー個性がひしめくコンピレーション『S.D.S = 零=』（EM1192CD/LP）のトリで印象的なヴォーカル・チューン「Ray」を披露したソングライター／プロデューサー／ DJ、Le Makeup のデビュー・アルバム『微熱』。

2020 年6 月に配信のみで発表された本作があまりに素晴らしいので後世に残すためパッケージ化。ル・メイクアップはエドワード・ヤン『クーリンチェ少年殺人事件』を卒論にした経歴を持つクリエイターで、それだけで信頼に足る、耳を傾けさせるものがありますが、音楽家としては完全なるデジタル・ネイティブ。Ashida Park やEternal Dragonz といったレーベルを通じて音楽を内外に配信し、ラッパー／シンガーへの楽曲提供やTV ドラマの劇伴制作を行い、現在はシンガーのDove（ドーヴ）とレーベル、Pure Voyage を主催。

『微熱』はフランク・オーシャンをどう消化するかという同時代的命題を、槇原敬之や原田知世等の作品から得た技術的・フィーリング的な助けを借り、真正面から乗り越えたようとした作品かもしれない（いや、とっくに消化して先に進んでいるのか！？）。

ラップが当然のいま、歌謡J-POP でもなく、このようなD.I.Y. エレクトロニックでヴォーカル曲で勝負するプロデューサー自体が希少だ。歌詞に同世代トラップ勢のようなスラングや身内用語はなく、拍子抜けするほど穏やかな＜普通＞の世界を歌っているが、これはベン・ワット『ノース・マリン・ドライブ』が持っていたどうしようもなく孤独で危うい怒りの手前の穏やかさと似ている。既出曲の「Ray」と「スポットライト」はアルバム様の別ヴァージョンで、CD のみのボーナス「台風」を追加。装丁デザインはフランスのDossier De Songe が担当。

(メーカー・インフォメーションより)