John Fahey

John Fahey (ジョンフェイヒー) プロフィール

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ここ数年来、音響派サウンドのルーツとして騒がれたジョン・フェイヒイ。シカゴ音響系の奇才、ジム・オルークが在籍していたガスター・デル・ソルのアルバム Upgrade And Afterlife フェイヒイの曲が収録されていたことがきっかけとなり、UKの先鋭的な音楽誌Wireにてオルークによるフェイヒイのインタビューが実現、その後オルークのプロデュースによるフェイヒイ作品 WombLife がリリースされる頃になると、この「アメリカーナ的」な音楽探求と、いかがわしくも崇高な音響的実験精神を併せ持った二人のミュージシャンには多くの共通項があると指摘されるまでになったのだ。

ジョン・フェイヒイは1939年2月28日に、メリーランド州タコマ・パークにて生まれたと言われている。10代はじめの頃のフェイヒイは、カントリー・ミュージックに夢中になり、17ドルのギターを手に入れて独学で演奏を学んでいったという。やがて昔のカントリー78回転盤を集めていくうちに、彼はブラインド・ウィリー・ジョンソンのSP盤に出遭い、戦前ブルースに強く傾倒していくようになった。

その後、フェイヒイはガソリン・スタンドで稼いだお金を使い、100枚のLPを自主制作した(このアルバムで既にTakomaというレーベル名表記がある)。1959年にプレスされたこのアルバムは早くもこの異端のアーティストの個性を示したもので、アルバムの片面に「John Fahey」、もう片方に「Blind Joe Death」と印刷されたこの自主制作盤は、のちに形を変え大きな注目を浴びることになるのだった。

バークレーに拠点を移した60年代の半ば頃に、フェイヒイはエド・デンソンらと共にTakomaレーベルを正式に設立。そこから前述の自主制作盤 John Fahey/Blind Joe Death を再レコーディング、そしてリリース。ルーツ音楽に多くを負いながらも、独自の表現の中で展開された同作品は、当時のアメリカにおけるカウンター・カルチャーの盛り上がりの中で、ヒップな一部の層に絶賛されることとなる。

1968年頃からジョン・フェイヒイはよりコラージュへの関心を高め、TakomaからVoice Of The Turtle、1971年にAmericaを発表。またこの同時期にヴァンガード・レーベルからはYellow PrincessRequiaといった傑作を発表、そして1972〜3年にはリプリーズ・レーベルから、オールドタイム・ミュージックに接近した Of Rivers And Religion をリリース、といったように縦横無尽の活動を繰り広げた。

またこの時期のフェイヒイの活動において大きな話題を生んだのが、戦前ブルースマン再発見に寄与した「ブルース研究家」としてのフェイヒイの評価だった。1963年、フェイヒイとエド・デンソンはブッカ・ホワイトの住むメンフィスへと車を走らせ、その出会った日の午後には彼の演奏を録音したと言われており、結局ブッカ・ホワイトはTakomaレーベルからLPとシングルを発表するに至る、という話。その他ではレコーディングの機会は用意することができなかったもののスキップ・ジェイムスの再評価にも関わっている。また1966年12月に、フェイヒイと友人のバリー・ハンセンは、学術論文用の音楽収集を目的とした旅に出掛けており、車でオクラホマ、ルイジアナ、アーカンサスなどに出向いた彼らは、多くのオールドタイム・ミュージックを現地にて録音。このときに録音されたマテリアルを使ってフェイヒイは自身の作品の中でコラージュを試みたり、自分名義の演奏として使用するなどした、と言われている。

70年代の半ばになるとフェイヒイはTakomaの経営から手を引くが、一方でアーティストとその所属レーベルという関係は維持。ShanachieやVarriackといったレーベルから、 Leo Kottlke/Peter Lang/John Fahey 、 Old Fashioned Love 、Rain Forests, Oceans, And Other Themes といった佳作を80年代にかけてリリースしていき、90年代には冒頭に挙げたような再評価も手伝ってジム・オルークやグレン・ジョーンズらのサポートによりWombLife The Epiphany Of Glenn Jonesといった作品を精力的にリリースし続けている。

古いアメリカ音楽の蒐集家であるジョン・フェイヒイにあるリスナー体質の個性や、現代音楽的/ノイズの要素(不協和音や不思議なチューニング、コラージュ的要素など)を孕んだ音像への拘りを感じさせるアーティスト的な個性といったものは、90年代以降の先鋭的な音楽家達に通じるものであり、それは今のジム・オルークベックらを聴き慣れたリスナーの耳にも馴染み易いものだろう。また両者に共通する感覚を挙げると、カントリー/ブルースから継承したピッキングやスライド奏法など伝統的な音楽手法に敬意を払いながらもそれらを自分流に自在にエディットするような感覚があることである。現在では普通とすら思われるこうした感覚が、あの「本物」と地続きの時代――60年代にあったというところが面白いし、それゆえジョン・フェイヒイは同時代のアーティスト達とは異なる非常にユニークな個性たり得たのだった。

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