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巨匠テンシュテット・ライヴ第2弾!
ド肝を抜く『シンフォニエッタ』フィナーレのコーダ!
濃厚にして激烈なドヴォ8、ほか
やはりテンシュテットのライヴは恐ろしいほどに劇的!
ベストセラーとなった《第9》に続くクラウス・テンシュテット(1926-1998)のライヴ・シリーズ第2弾は、手兵ロンドン・フィルを指揮した「オール・チェコ・プログラム」。
1991年4月2日、ロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホールにおけるライヴ録音です。もちろん正規盤初出、セッション録音にもないレパートリーだけに、垂涎の一枚といえるでしょう。
冒頭のスメタナ《売られた花嫁》序曲から、生きる喜び爆発させるようなテンションの高さで、その明るく快活な音楽はコンサートの幕開けにふさわしい内容。
ドヴォルザークの交響曲第8番では一転、ゆったりとした入念な歌いこみからたたみかけて、ひと息にエネルギーを開放するダイナミズムが至るところでうねる劇的なさまが凄まじく、音を割ったホルンの咆哮、ティンパニの強打が炸裂する展開部の壮絶なクライマックスでは、得意のマーラーをも思わせる厳しくも痛ましい悲哀が込められた魂の音楽が感じられます。そのテンポの振幅の激しさ、楽句ひとつひとつの有機的な扱いはテンシュテットならではの采配ぶりで、まるで音楽のすみずみが息づいているような鮮烈な感興を呼び起こします。
一気に突き進む第1楽章につづく緩徐楽章の語り口も実にみずみずしく、ひとふしひとくさりに真摯な彫琢が施された充実の聴きもの。終楽章の精魂を込めた緩みのない燃焼ぶりには、聴き手の心持ちをも思わず熱くさせる音楽そのものへの深い共感があらわされています。
ヤナーチェクの《シンフォニエッタ》も、この作品としては異例の雄大なスケールと重厚な手応え、壮麗で澄みきった音楽の質感がまっすぐに聴き手へ届く名演奏であり、第1曲から実演ならではの緊迫感あふれる音楽が鮮烈。続く曲も重厚な迫力が見事で、第5曲コーダでは聴き手のド肝を抜く演奏を聴かせてくれます。
リマスタリングは、EMIのARTシリーズや、TESTAMENTレーベルでもお馴染みのポール・ベイリーが担当。分厚く壮麗なサウンドを味わうことが可能です。
■スメタナ:歌劇『売られた花嫁』序曲
■ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調
■ヤナーチェク:シンフォニエッタ
クラウス・テンシュテット(指)ロンドン・フィルハーモニー
録音:1991年4月2日ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァルホール(ステレオ・ライヴ)