バンドは全米各地を精力的にツアーしていくが、この時期の演奏がLive At Ludlow Garage 1970という2枚組で聴くことが出来る。まだまだ後のようなテンションこそないものの、バンドが一体となったときの迫力は凄まじく、44分にもわたる"マウンテン・ジャム"は圧巻。そして何よりデュアンのスライド・ギターが熱い。そしてこの時期特筆しておくべきなのが、エリック・クラプトンとのセッション、デレク&ザ・ドミノスのアルバムいとしのレイラへのデュアンの参加である。バンド活動と平行してまだセッション・ギタリストの活動を続けていたデュアンは、ここで奇跡的な出会いをすることになる。70年8月にデュアンとクラプトンはジャムセッションの場を設け、初めてギターを手にして顔をあわせることに。すぐにデュアンのギタープレイに魅了されたクラプトンは”何曲かアルバムでひいてもらえないか”と持ちかけたのだが、ふたを開けてみるとデュアンは実にアルバムの大半の曲でリードギターを取っている。"レイラ"の印象的なフレージングもデュアンの発案だ。セッションの後半、クラプトンはあの手この手でデュアンをスタジオにつなぎとめようとしたらしい。デュアンの泣きのスライドが後ろの方で響く中、感情をぶつけたクラプトンのシャウトが重なる、という名曲"レイラ"はこうして生まれたのである。
そして71年、数あるロックのライブ盤の中でも最高傑作といえるLive At Fillmore Eastを発表。当初レコード会社の反対に会い、リリースを渋られたというエピソードが残っているが、バンド側の強行策によりアルバムはリリース。この一枚が大ヒットしてオールマンズは一躍スターダムにのしあがる。適度な緊張感をもって進められる演奏、ここぞというときに爆発をみせるダイナミズム、さらにそこにデュアンのギターが滑るように乗っかっていくさまは凄いとしか言いようがない。デュアンが弾いているというよりは、デュアンとギターが一体となって、ギターそのものが鳴いてしまっているような印象だ。この時のフィルモアの熱演は、長いあいだLive At Fillmore Eastとして親しまれてきたが、92年に音質がリマスターされ、収録曲も完全に近い形でリイシューされた2枚組みFillmore Concertsというアイテムもあり、こちらも素晴らしい。
いよいよ順風満帆に見えたオールマンズであったが、ここで突然の悲劇が彼らを襲うことに。デュアン・オールマンがバイクでツーリング中、事故を起こして帰らぬ人に。葬儀に参列したバンドメンバー、ミュージシャン、家族の悲しみは始めとしてファンにとっても非常に残念な事件となってしまう。オールマンズはその後デュアン生前のテイク等を含むアルバム、イート・ア・ピーチを発表。1曲目"Ain't Wasting Time No More"(時はもう無駄には出来ない)というフレーズには、バンドの悲壮な決意が感じられる。さらに次作ブラザーズ&シスターズは、レーナード・スキナード等の登場にもより湧き上がるサザン・ロックブームの追い風を受けて、全米で大ヒットを記録する。しかしここに既にデュアンの姿はないのであった。