Bilbao -La Habana Y Vuelta

伝統のキューバン・ジャズ・ピアノの系譜を高いパフォーマンス能力でアップデートする若き達人ダニエル・アマート。
美しく艶やかに開花したリーダー2ndアルバムは、チューチョ・ヴァルデス、パンチョ・アマートもゲスト！

基本コンボは、ダニエルのピアノに、ダブルベース、パーカッション×2というシンプルなカルテット。そこへ、管/弦、さらにはヴォイスをアクセントに加えた彩り豊かなキューバン・ジャムが展開していく。流麗かつ力のこもったピアノの運指がいきなりの見せ場となるダニエル・オリジナルのM1で引き込まれ、続くM2は、作者でもありキューバ独特のトレス・ギター奏者の最高峰パンチョ・アマート、そして偉大な先輩チューチョ・ヴァルデスをフィーチュアしたモントゥーノ・ミーツ・ジャズというハイライト・トラック。ミディアムなダンソンのリズムをスタイリッシュなピアノのリフで描き出すM3、ブレイキングを織り交ぜた各ソロ・パートの躍動が心地よい渾身のダンサブル・トラックM4と続く前半の構成で、本作の素晴らしさを十分に体感できよう。続くM5は一転、ストリングスとフルートを挿入した"チャランガ"をモチーフにしたジャズ。ここではフルート・ソリストとして世界的に知られる名手マラカが参加。再びカルテットによるキューバン・ジャズへと回帰するM6、チェロの荘厳なソロを柔らかく包み込むM7、パンチョ・アマートのトレスとアフロ・ルーツ・キューバ然としたヴォイス・パートが気高く鳴り渡る入魂のルンバ・ジャズM8(このトラックが特に素晴らしい!!)、そして滑らかなピアノとストリングスが織り成す、緩やかなソンを貴重としたラストが、ドラマティックな余韻を残す。

これまで数多あるキューバン・ジャズ作品と比較しても、ミニマムな音の粒立ちから、レパートリー構成に至るまで、リスナーを虜にするかのごとく創られた完璧な逸品。フラン・エミリオ、チューチョ・ヴァルデス、ゴンサロ・ルバルカーバ、エミリアーノ・サルヴァドール、イラリオ・ドゥラン、エルナン・ロペス・ヌッサ・・・数多くの名手を輩出するキューバ人ピアニスト。その伝統の系譜に新たな才能が加わったことを、本作から実感していただきたい。