Here's To Love

デンマーク、第二の都市、オーフスの郊外に生まれた美人女性ヴォーカリストのデビュー作品。スカンジナヴィアン･ジャズ･シーンで活躍しアレックス･リールやラーシュ･ヤンソンを迎えたリーダー作をリリースしたことでも知られるコントラバス奏者ピーター･ヴーストとはいとこ。また実兄もサックス奏者であるクララは小さい頃から音楽に親しんで育ったようです。クラシック･ピアノと歌を原点にしつつ、自然にジャズに出会い、何と、11歳の誕生日のプレゼントは、ジャズ･スタンダードの数々の譜面が掲載されたリアル･ブック！ナンシー･ウィルソンやキャノンボール、エラ、そしてジョニ･ミッチェルといったアーティストがお気に入りで、新しい世界が開けて行ったとのことです。


そんな彼女の表現は、奇をてらわない自然な風合いが好印象です。曲はジュール･スタイン＆サミー･カーンのM6や、チャーリー･チャップリンのM9のようなアメリカン･スタンダード、ミッシェル･ルグランのM4、バーデン･パウエル、カルロス･ジョビンによるボサM4.10 そして、地中海の色彩感を感じ
させるフランチェスコ･カリのオリジナルなど、多種多様。しかし、メランコリックな色調を通奏低音にして表現される曲の数々は、一つの物語のよう。2 人のルーツである北欧の穏やかさと、南イタリア、地中海の懐の深い温かみを織り交ぜ、喜怒哀楽の機微のようなものを繊細に表現した演奏は、どの曲もゆったりと、優しく聴く人を包み込みます。


シャーリー･ホーンの歌を聴いて虜になったというタイトル曲を始め、生きることと愛情への讃歌を綴った10編の端正なヴォーカル作品。ドラムレスという編成も好印象。ジャズ度は薄めですが、アコースティックな良質なヴォーカルを好まれる方にお薦めしたい作品です。(新譜インフォより)

Clara Vuust (vo), Francesco Cali (p & acc), Nico Gori (cl), Daniel Franck (b), Jeppe Holst (g), Flemming Agerskov (tp track 8)
All music arranged by Francesco Cali