名曲「梁山伯と祝英台」の代表的名盤。同曲を十八番とする西崎崇子のソロと、樊承武率いる上海音楽院交響楽団という万全のコンビによる演奏で、中国においても非常に高い評価を得ている。全体にゆったりとしたテンポを採って、美しい旋律をたっぷりと存分に歌わせておりロマンティック。西崎のソロは流石に堂々たる表現であり、芯の太い力強い節回しと中国風の艶やかなヴィヴラートを駆使し、ここはこうあって欲しいというツボを見事に押さえている。オケも熱演で、技術的にもほぼ不足なく速いパッセージもしっかりと鳴り切っており、冒頭のフルートの囀りから壮麗なトゥッティまで、まさに大陸的なスケールの演奏を繰り広げる。余白の小品集はなかなか接する機会の無い作品だが、梁祝と同様に、分かりやすく美しい中国の旋律に彩られた佳作揃いで楽しく聴ける。1992年、上海でのセッション録音で音質は上々。