ミニアルバム「SUNNY SIDE UP」、シングル「カフネ」と、リリースを重ねるごとに聴かせ方が変わってきていた彼ら。
今作はそれが特に振り切れたものになっている。
ポップの方向にである。
一曲目の「The World」を聴いた瞬間から感じたのはシンプルな良さだ。
この良さというのは、メロディの馴染みやすさやサウンドの心地良さ、わかりやすい言葉とそれを響かせる歌声。
特定の人では無く、多くの人へ向けて良い音楽を聴いてもらいたいという想いがひしひしと伝わってくる。
ここから「Sunny side up from your heaven’s kitchen」、「ポラリス」、「カフネ」、「Sunny side up」の流れは、上記のシンプルな良さを少しずつ形を変えながら聴かせてくれるので、一度聴き始めたら耳を離そうとは思えないほど秀逸なものだ。
「boys」で一度趣向を変え、攻撃的なリズムと音色を掻き鳴らせるが、激しさの中に確かに光るキャッチーさが聴く者を離そうとしない。
後半も素晴らしいのだが、「ねこの居る風景」からの3曲は特に。
ミニアルバム「SUNNY SIDE UP」ではハーモニカを取り入れるなど柔らかい印象だったが、今回アルバムバージョンで陰を魅せるサウンドで深みのある世界を聴かせてくれる。
この深くなった世界を「Winter Train」の軽やかな疾走感が融和し、「the Sun」の雄大さがアルバムに心地良い余韻を残していく。
ロックバンドである彼らがここまで明確にポップを歌うのは珍しい。
でも何故だろう、違和感はあまり無く、Brian the Sunが持つ魅力の一部に特化しているだけなのだなと感じる。
初めての人は是非この一枚を聴いてみて欲しい。
もしこれが好きになったら是非前の作品も聴いてみて欲しい。
そうこれは、Brian the Sunの”きっかけ”の一枚。
この歌が、きみを照らしますように。