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【中古:盤質A】 ギーレン・エディション〜大フーガ、グレート、ブル6、ベト8、ほか(5CD)

中古情報

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A
特記事項
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なし
コメント
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5枚組
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基本情報

ジャンル
カタログNo
93080
レーベル
Germany
フォーマット
CD
その他
:
輸入盤

商品説明

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ギーレン・アニヴァーサリー・ボックス(5CD)
大フーガ、グレート、ブル6、ベト8など

古典作品やオペラから前衛作品、自分の作品にいたるまで、幅広いレパートリーを強烈な個性で再現してきたドイツの大物指揮者、ミヒャエル・アンドレアス・ギーレン[Michael Andreas Gielen 1927.07.20- ]の魅力は、まず何よりもそのハードでシャープな演奏内容の独特の性格にあるといえますが、近年のギーレンの良い意味での変貌・円熟ぶりはそうした要素を十分に残しつつも、より豊かな表情やスケールの大きさが獲得された見事なものです。
 特にヘンスラー・レーベルからの一連のマーラー・サイクルでそうした傾向が顕著となっているようですが、今回、ギーレンの75歳を祝って同じくヘンスラー・レーベルからリリースされるボックスセットには、より多彩なレパートリーが収められていて、近年のギーレンの音楽づくりを様々な角度から味わうことが可能となっています。

【収録情報】
・ベートーヴェン:交響曲第8番 [24:22]
 2000.1.21/22 フライブルク・コンツェルトハウス

 第1楽章は小技のよく効いた流動感の小気味良さと、その流れを阻もうとするかのような拍節感覚の並存が、作品から多層的な味わいを引き出していてさすが。呈示部反復時のブリッジ音型のカッコ良さゆえか(?)この楽章のみ反復実行。
 第2楽章はギーレンならではの音響パースペクティヴの面白さが格別。
 第3楽章はテンポこそメヌエットながら、音楽は違うと言わんばかりの豪快なうねりに満ちた主部の演奏と、非常にリズミカルなトリオの対照が聴きもの。
 第4楽章は主要主題部でのギクシャクした動きをストレートに打ち出した武骨なアプローチが魅力的。

・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番 [33:30]
 シュテファン・リトヴィン(P)
 1994.4.20 バーデン・バーデン、ハンス・ロスバウト・スタジオ

第1楽章では管弦楽による呈示部でのギッシリと目の詰んだ立体的かつダイナミックな表現にまず驚かされますが、続いて登場するピアノの異様なまでに音の粒立ちの克明な演奏にはさらにビックリ。1956年生まれのこのシュテファン・リトヴィンというピアニスト、もっぱら現代音楽畑で活躍している人だけに一般的な知名度はありませんが、「畑違い」ゆえの「目からウロコ」的な面白さはギーレンの指揮ともども、新たな発見に満ちていて実に刺激的です。
 第2楽章ラルゴは、実はベートーヴェンの天才ぶりが遺憾なく発揮されたなかなかの聴きどころなのですが、ここでの彼らの演奏はさらに強烈で、思い切ったデフォルメまで見せながら、作品に込められた深い感動や繊細な動揺を徹底的に音化していて見事というほかありません。
 第3楽章も面白い演奏です。時代楽器演奏の美質や効果をも十分に取り込んだアプローチは表現レンジがきわめて広大であり、改めてこの作品の語彙の豊富さに気付かせてくれる楽しさがいっぱいです。

・ベートーヴェン:大フーガ(ギーレン編曲版)[16:02]
 1993.10/9 バーデン・バーデン、ハンス・ロスバウト・スタジオ

もともと弦楽合奏で演奏されることの多い『大フーガ』。要は弦楽四重奏用としては破格の情報量がそうした現象を引き起こしていたのでしょうが、ギーレン編曲によるここでの演奏は、これまでのものとまったく異なる斬新なアイデア、響きの魅力が聴き手を魅了せずにおきません。
 頻出する「バルトーク・ピチカート(打楽器的効果を狙った指板打ち付けピチカート)」やミュート、フラジオレットの使用、分奏による対位法効果の強調が、難解なフーガの目覚ましい解析作用につながった凄い編曲&演奏です。

・シューベルト:交響曲第9番『グレート』[51:20]
 1996.4.27 ロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのライヴ録音。

当ボックス・セット唯一のライヴ録音で、しかも場所は珍しくもロンドンということですが、音響条件はすこぶる良好。
 第1楽章序奏部冒頭は驚くほどの速さで始まりますが、その小気味良いばかりの音素材たたみかけとテンポの変動、立体感、緊迫感は、主部に入っての失速感(?)でまたビックリ。主部は第1主題部に関してはむしろ遅めの設定で、第2主題部は普通、第3主題(結尾)部は速めとなっており、さらに序奏部素材が扱われる展開部の最初のブロックは快速といった具合で、ギーレンがこの作品を通常のソナタのフォームと見ていないことは明らか(呈示部の反復もここではおこなっていませんし)。
 コーダでの序奏主題回帰部分、つまり最後の部分の速さにも驚きです。
 第2楽章も速めのテンポ設定で、キビキビした進行が爽快。冷静型と陶酔型のアプローチがはっきり分かれることでも有名な副主題導入部(2:48-)もあっさりやっていますが(ヴァントですら濃厚型でした)、ギーレンの場合、眼目は肝心の副主題部にあるわけで、そこでの大きくうねる低弦をはじめとするアグレッシヴな表現は見事というほかありません。
 第3楽章は反復実行により14分を超えていますが、このミニマルな感触はなかなか魅力的です。
 第4楽章はリズム動機の出し入れが実に面白く、けっこう一本調子に聴こえやすいこの楽章が、実は機知に富んだ表情豊かでスリリングな音楽だということがよくわかります。コーダも迫力満点です。

・J.シュトラウス:ワルツ『春の声』[07:16]
 1998.9.4 フライブルク・コンツェルトハウス

シンバルやバスドラがでかい音で入るという実にダイナミックな『春の声』。エピソード・ブロックでもその流儀は徹底しており、ワルツと言うよりは、軍隊の閲兵式か何かのような勇壮な雰囲気がユニークななんだかすごい演奏です。クレンペラーの『皇帝円舞曲』と並ぶ異端ワルツ演奏の代表格。

・ブルックナー:交響曲第6番 [56:33]
 2001.3.29 フライブルク・コンツェルトハウス

実演ではけっこう速いテンポを採用していたというギーレンの6番ですが、ここでは徹底的にディテールにこだわったじっくり型の演奏で聴かせてくれます。
 第1楽章では第1主題部の力強い格好の良さもさることながら、帰属情報すべての顕在化を意図したかのような第2主題部での複雑をきわめた味わいが絶品。素晴らしい演奏です。第3主題部への息長いブリッジの進行もスケールが大きく立派。以下、展開部では情報量の多さとパワフルなアプローチが両立した演奏が聴かれます。
 第2楽章でも、いわゆる「静謐系」「ムード系」の演奏とは大きく異なる雰囲気がユニークですが、こうした情報量主体のアプローチは交響曲好きにはきっと受けることでしょう。ここでも第3主題部(4:53−)では、重層的な感触ゆえの美しさを引き出していて非常に感動的です。
 第4楽章でも大馬力の第1主題部に続く第2主題部(1:52-)に驚かされます。昔のドライなギーレンなら考えられないようなウェットで美しい音楽がそこにあるからですが、とはいえ、ギーレンのことですから、臆面も無い「泣き」指向というのではなく、段落の扱いやパートの出入りにも細かく留意した(クラリネットが見事)結果としてのウェットさなのは言うまでもないところ。

・J.S.バッハ/シェーンベルク編曲:プレリュードとフーガBWV552 [14:25]
 1996.8.22 フライブルク・コンツェルトハウス

ギーレン指揮するオーケストラの特徴はなんと言ってもパートの独立性の高いこと。『聖アン』の愛称でも知られるこのエレガントな人気作品でも、後半のフーガ・ブロックでは多彩な音色とパートの絡みが隙なく配慮されていて文句なし。

・スクリャービン:交響曲第3番『神聖な詩』[45:57]
 1975.5.22/23 バーデン・バーデン、ハンス・ロスバウト・スタジオ

「闘争」、「快楽」、「神聖な遊び」、という3つの楽章から成る交響曲。作曲当時のスクリャービンは、モスクワ音楽院の教授を辞め、妻を棄て、愛人との生活を決意していたという時期にあたり、そこここにワーグナー作品の影響が聴きとれるのもおもしろいところ。
 当セットの中で唯一の70年代の録音となるギーレンの演奏は、速めのテンポとテンションの高い響きが特徴的で、少々聴き疲れはしますが、高揚感はかなりのものです。なお、コーダの最終和音はギーレンの解釈によりカットされているということです。

・ブゾーニ:『悲歌的子守歌』[07:22]
 1995.2.3 バーデン・バーデン、ハンス・ロスバウト・スタジオ

「母の棺に寄せる男の子守歌」という副題の通り、作曲者ブゾーニの母親の死を悼んで書かれたピアノ曲集『悲歌集』から第7曲『子守歌』をオーケストラ用に編曲したもの。
 暗い色彩が少し鬱ですが、繰り返しに耐えて深まる「スルメ」的な味わいが聴き慣れてしまうと実に魅力的。ヴァイオリン・ソロ(4:47-)が活躍する後半は特に印象に残ります。

・ラヴェル:『海原の小舟』[07:51]
 1997.1.9 フライブルク・コンツェルトハウス

・ストラヴィンスキー:『ロシア風スケルツォ』[04:04]
 1998.4.1 フライブルク・コンツェルトハウス

諧謔精神に富むシンプルで魅力的な小品。同じ時期の『サーカス・ポルカ』ほど直接的ではありませんが、この作品でもシューベルトの軍隊行進曲が断片的に引用されているのが興味深いところです。

・シェーンベルク:劇付随音楽『幸福の手』[18:04]
 ヨーン・ブレヒェラー(Br)、ベルリン放送合唱団

有名なモノドラマ『期待』が、錯乱した女性心理を心の襞に沿って徹底描写した作品であったのに対し、この『幸福な手』では、ある男の妄想を、フルオーケストラと合唱まで用いてきわめて劇的に描き出しているのが特徴。楽器編成は、ピッコロ、フルート3、オーボエ3、イングリッシュ・ホルン、小クラリネット、クラリネット3、バス・クラリネット、ファゴット3、コントラファゴット、ホルン4、トランペット3、トロンボーン4、バス・テューバ、ティンパニ、大太鼓、小太鼓、シンバル、タム・タム、高音用グロッケン、メタルロール、低音用グロッケン、トライアングル、タンバリン、ハンマー、シロフォン、ハープ、グロッケンシュピール、チェレスタ、弦5部というほぼ4管編成の大部隊。

・ベルク:演奏会用アリア『ワイン』[13:05]
 メラニー・ディーナー(S)

ベルクの書いた数少ないオーケストラ使用作品のひとつであるこの演奏会用アリアは、1929年の春、『ルル』の構想を練っていたときに依頼されて書かれたもので、1930年にシェルヘンの指揮、依頼者ヘルリンガーの歌で初演されています。
 テキストにはシュテファン・ゲオルゲがドイツ語訳したボードレール『悪の華』からの詩『ぶどう酒』が用いられており、12音技法のほか、タンゴのリズムが用いられるなど、ベルク未完のオペラ『ルル』にも通じる退廃美がとても魅力的です。

・ヴェーベルン:管弦楽のための5つの小品 [04:38]

1910年に書かれた『6つの小品』の様式的発展版ともいうべき作品で、小さな器に多くの音響が詰め込まれたようないわゆる「圧縮様式」が最大の特徴。音列作法や音色旋律も用いられ、僅か5分未満の中に詰め込まれた情報は膨大です。

・ヴェーベルン:カンタータ第1番 [07:36]
 クリスティアーネ・エルツェ(S)、フライブルク・アントン・ヴェーベルン合唱団

新ウィーン楽派に属しながら、意外にもシュプレヒシュティンメによる作品を1曲も書いていないというヴェーベルンは、さらに大の女声好きでもあり、残された声楽作品のほとんどが女声独唱用という、奇妙な創作状況を呈することにつながっています。
 この3つの楽章から成る『カンタータ第1番』は1939年に書かれており、1管編成のオーケストラと混声合唱をバックに、ソプラノ独唱が活躍します(但し第2曲と第3曲で)。

・シュトイアーマン:『管弦楽のための変奏曲』[08:19]

エドゥアルト・シュトイアーマン[1892-1964 ドイツ]は、シェーンベルク門下のピアニスト兼作曲家で、ギーレンの叔父にあたる人物でもあります。シェーンベルクやヴェーベルンも好んだ変奏曲という形式は、シュトイアーマンの創作心もかきたてたようで、彼は晩年の1958年にこの作品を書き上げています。シェーンベルクとヴェーベルンの特徴を併せ持ちながらも聴きやすい仕上がりです。

・ギーレン:『義務と嗜好』[25:26]
 2001.3.26フライブルク・コンツェルトハウス

1988年に書かれたこの作品、管楽器、打楽器、鍵盤楽器のために書かれており、点描的なスタイルが特徴的な前衛作品。最近の実演では、ブルックナーの交響曲第6番と組み合わされたケースが多かったようです。

 南西ドイツ放送交響楽団
 ミヒャエル・ギーレン(指揮)

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’20年代生まれのギーレンはごく一般的な意...

投稿日:2005/02/04 (金)

’20年代生まれのギーレンはごく一般的な意味においてオーケストラを緻密に鳴らすのが上手い人でもあり、このセットに収められた古典作品の数々は、アイディアに満ちたその解釈の面白さも相俟って、本当に良い仕事をしているな、と思わせられるものばかり。とはいえ近・現代音楽の愛好者にとって朗報なのは、録音が多いとは言えないシェーンベルク《幸福の手》やウェーベルン《カンタータ第1番》、そして珍しいシュトイエルマンやギーレンの自作の鮮やかな演奏が収められていることでしょう。

un portrait de PB さん | 東京都 | 不明

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