芸術と熟達の技〜イタリア・バロック黎明期における超絶技巧ヴァイオリンの装飾技法　オリヴァー・ウェッバー、スティーヴン・デヴァイン

CON ARTE E MAESTRIA〜芸術と熟達の技

16世紀の終わりから17世紀の初頭にかけて発展した「ディミニューション＝旋律中の音を細かい音価の音符に細分すること」と呼ばれる演奏様式。これは変奏曲などでよく使われる方式で、当時の奏者たちは元のシンプルな旋律に即興的な装飾を付ける技術が求められていました。
　このような作品の1つに、ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナのマドリガーレ『Io son ferito（ああ、私はこんなに傷ついて）』の旋律にフランチェスコ・ロニョーニが装飾を施したものがあり、ここには「芸術と熟達の技」というキャプションが付けられていました。このアルバムには、当時のディミニューションの作例と、ヴァイオリニストのオリヴァー・ウェッバー自身がこの時代の作品に新たな装飾を施したヴァージョンを聴くことができます。
　オリヴァー・ウェッバーは17世紀から18世紀作品を得意とするピリオド楽器アンサンブル「モンテヴェルディ弦楽バンド」の音楽監督。このアルバムはアンサンブルに属する奏者たちをフィーチャーするシリーズ『モンテヴェルディ弦楽バンド・イン・フォーカス』の最初の1枚となります。（輸入元情報）

【収録情報】
1. ジョヴァンニ・バッサーノ[c.1561-1617]：第1リチェルカータ
2. シプリアーノ・デ・ローレ[c.1515-1565]：Anchor che col partire〜リッカルド・ロニョーニ[c.1550-c.1620]による装飾
3. パレストリーナ[c.1525-1594]：Deh hor foss’io col vago della luna〜ウェッバー[1969-]による装飾
4. アスカニオ・マイオーネ[c.1565-1627]：第1フランス風カンツォン
5. ビアージョ・マリーニ[1594-1663]：シンフォニア『ラ・ガルダーナ』
6. オリヴァー・ウェッバー：リチェルカータ（原曲：バッサーノ）
7. トマ・クレキヨン[c.1505-c.1557]：Par trop souffrir de fortune ennemie〜ウェッバーによる装飾
8. オルランド・ディ・ラッソ[c.1532-1594]：Susanne ung jour〜ジローラモ・ダッラ・カーサ（1601年没）による装飾
9. ゲルトナー：トッカータ
10. マリーニ：シンフォニア『ロルランディナ』
11. ジョヴァンニ・ガブリエリ[c.1555-1612]：第2旋法によるトッカータ
12. トマス・ルイス・デ・ビクトリア[c.1548-1611]：Dilectus tuus candidus〜ボヴィチェッリ（16世紀後半に活躍）による装飾
13. デ・ローレ：Signor mio caro〜ウェッバーによる装飾
14. ウェッバー：チャッコーナ（モンテヴェルディ、サンチェス、R & F.ロニョーニにならって）
15. ミケランジェロ・ロッシ[c.1601-1656]：第9トッカータ
16. ダリオ・カステッロ[1602-1631]：第1ソナタ
17. カルロ・G（1600年頃〜1620年に活躍）：Convertisi planctum
18. ジョヴァンニ・パオロ・カプリオーリ[c.1580-c.1627]：Vulnerasti cor meum〜ウェッバーによる装飾
19. アントニオ・モルターロ（1587年〜1610年に活躍）：カンツォーナ『ラ・マルヴェッツァ』〜ウェッバーによる装飾
20. アウレリオ・ヴィルジリアーノ（1600年頃活躍）：Vestiva i coll（リチェルカータ）
21. パレストリーナ：Cosi le chiome mie〜ウェッバーによる装飾
22. アンドレア・ガブリエリ[c.1532-1585]：4声のイントナツィオーネ
23. パレストリーナ：Io son ferito〜フランチェスコ・ロニョーニ[?-c.1626]による装飾

　オリヴァー・ウェッバー（ヴァイオリン）
　スティーヴン・デヴァイン（オルガン、チェンバロ）

　録音時期：2021年2月10-12日
　録音場所：St John's Church, Loughton, UK
　録音方式：ステレオ（デジタル／セッション）

【参考映像　ブライトン古楽音楽祭より】