その後、インディーのAJMレコーズとサインを交わしたアシャンティはレーベルのスタッフを通じてアーヴ・ゴッティと運命的な出会いを果たし、彼の勧めで参加したビッグ・パニッシャー“How We Roll”のヒットを経てマーダー・インクへと移籍。以降、ジャ・ルール『ペイン・イズ・ラヴ』で“Always On Time”を含めた計3曲にフィーチャーされたのをはじめ、ファット・ジョー“What's Luv?”やキャデラック・ター“POV City Anthem”といったヒット・シングルなどでの印象的なパフォーマンスによって徐々にその名を広めていくことになる。また、ソングライターとしても非凡な才能を持つアシャンティは、ジェニファー・ロペス“Ain't It Funny”の作者としても知られている。
2002年春にリリースされた、満を持してのソロ・デビュー・シングル“Foolish”は瞬く間にポップ/R&Bの両チャートを制覇。特にR&Bチャートではアシャンティ関連の3曲――“Foolish”“Always On Time”“What's Luv?”――がトップ3を占めるという驚異的な記録を残した。直後にリリースしたデビュー・アルバム『Ashanti』も当然のようにポップ/R&Bチャートの首位を初登場で射止めた他、“Foolish”に続く2ndシングル“Happy”も大ヒット。夏にはマーダー・インク総結集のコンピレイション『ザ・インク』でもリード・シングルの“Down 4 U”など3曲に参加、『Ashanti』も全世界で500万枚以上のセールスを記録するなど、その快進撃は2002年のポップ・ミュージック・シーン最大のセンセイションとしても過言ではない。
その勢いを追い風として、2003年6月には2ndアルバム『Chapter II』をリリースし、全米1位を余裕で奪取。“Rock Wit U (Awww Baby)”“Rain On Me”などのアンセムを収録した『Chapter II』は、2003年夏のサマー・クラシック・アルバムとなった。10月末には初来日パフォーマンス、11月にはクリスマス・アルバム『Ashanti's Christmas』がリリースされる。