Mystic Dance

伝統性と現代性を併せ持つ“ヌビア砂漠のディーヴァ”が聴かせるオーガニック・ミクスチャー！

2011年に南部10州が分離独立して南北で国が分かれてしまったアフリカ北部の国スーダン。その国の音楽と言えば、ワールド・ミュージック・ファンであればヌビア音楽を思い起こすことと思います。アブドゥル・アジズ・アルムバラクやアブデル・カディール・サリムなどがその代表として知られてきましたが、21世紀以降に登場しスーダンの伝統音楽を受け継ぐ新世代音楽家のひとりとして知られているのがこちらの女性ＳＳＷのアミーラ・ヘイル。その彼女が世界発売としては３作目となる作品を発表しました。

スーダン北部出身の両親を持つアミーラはイタリアの生まれ。ちょうどスーダンで内戦や旱魃が続き多くの難民を出した時期に生まれた彼女は、その当時ご両親がイタリアに亡命していたものと思われます。その後彼女はロンドンへと移住。そこで様々な音楽に出会い魅了されてゆきますが、その芯の部分にはいつもご両親から受け継いだスーダンの伝統音楽が強く残っていました。そして彼女はそんなスーダン音楽を基調としたオリジナル音楽をいつしか作り出すようになり、2011年にはデビュー作『ヴュー・フロム・サムウェア』（ライス SAR-632）を、そして2014年にはセカンド作『アルサハラー』（サンビーニャ・インポート SASI-664）をリリースし、話題を集めました。さらにUKの放送局BBCはそんな彼女を“ヌビア砂漠のディーヴァ”のニックネイムで紹介するなど、その知名度はむしろ異国の地で高まりつつあります。

そしてアミーラが４年ぶりに発表したのが本作『ミスティック・ダンス』です。ややストイックな内容だった前作『アルサハラー』と比べると、ポップ＆キャッチーで、どちらかというとデビュー作に近いサウンドに感じられます。アラブ音楽を代表する弦楽器ウードのほか、ジェンベに代表されるアフリカ的な打楽器をフィーチャーしたミクスチャー・サウンドはこれまで通り。歌うアミーラも貫禄が増し、包容力のある歌声へと成長しました。ここで取り上げている多くは彼女による作詞作曲ですが、１曲でクルト・ワイル作曲のアメリカン・スタンダード・ナンバー「Speak Low」を取り上げるなど、新しい方向性を感じさせるものも収録。よりアクースティックかつオーガニックなスタイルに磨きを掛けました。
　やや音頭調な旋律を感じさせるヌビア音楽をより洗練された形へと導くアミーラの音楽性。その動向を知れる本作はファンであれば絶対に外せません！


（メーカーインフォメーションより）