R.i.p.

多くの人が2010年のベスト・アルバムに入れるなど素晴らしい評価を得たHONEST JON'Sからの前作『Splazsh』以降、たどり着いた先は相当なディープ・スペースだった。ロンドンのダンス・ミュージック〜サブ・ベース文化から出発し、いまや彼はDrexciyaやAphex Twin、BurialやBasic Channelらダンス・ミュージックのイノベーター達と並んで称されるべき、オリジナルなビート・クリエイターといえる。しかし、あくまでUKダンス／ベース・ミュージックの出自を忘れずにいつつ、今作でACTRESSは画一的なダンス・ミュージックのフィールドから大きく越境し、Cabaret VoltaireやPan Sonic、Ovalといったエクスペリメンタル・サウンドのパイオニア達をも思わせる領域に到達している！「死」「生」「睡眠」「信仰」をテーマにし、ソフト・シンセやプラグ・インを使わず、「ボタンとスライダーを使って絵を描いたような感覚」で「自分自身を液体に溶かして機械に流し込むように」制作されたこのサウンドは、聴く者をダンスさせつつ、同時に人間の内側の触ることのできない、実体のない部分にいつの間にか侵入してきて作用するのだ。メディテーショナルなノン・ビートM-1、2、最深部で轟くサブベースを配置して踊らせる4/4ビート曲の合間に、ハープやストリングスを使ったまるで折り紙のような音響構築美を聞かせるM-6、7など、とらえどころのないリズム／パルス音ながらそのディープな世界に気づかぬうちに引き込まれていく、まさに大作！必聴！　（メーカー資料より）