演奏・録音ともに良く聴きごたえのある一枚。シンフォニック・ウィンド・オケと称するからには当然弦楽器は除かれているのだが、響きの分厚さ・スケール感の大きなダイナミックな表現からみて大編成のオケなのであろう。一曲目を終えたあとの拍手を聴いてライヴ収録と判明したが、セッション録音に引けを取らぬどころかコンサート会場の後部席で聴いているかのような極めて自然なプレゼンスである。因みに小生は眼前でカブリついたような収録は好まないので大変楽しめたが、おそらくワンポイント或いは最小限のマイクロフォンの使用に止めたであろうと推察される。ポジションも事前に念入りに行われたに違いない。と云うのも、これ程豊かなホールトーンを含みながらも各パートの細やかな動きが埋没することなく伝わってくるからである、そしてその音たるや柔らかく・芯があり・分厚く・しかも力強い。立派な演奏(ソロ・バックともに)とセンスの良いエンジニアが組めばこんなに素晴らしいCDができる、そのお手本のような事例である。ブラスのCDには意外にも食指をそそられるものが少なく、高音キンキン・スカスカ軽く薄っぺら・カサカサ粗くてドライな響きだったりと、今まで不幸にも良いCDに巡り合えずにいた。それだけに当盤を聴いた時には長年の溜飲を下げる思いであった。