『メロディ』〜スヴェトラーノフ（ピアノ＆指揮）

『メロディ』〜スヴェトラーノフ（ピアノ＆指揮）
〜ロシアの作曲家による哀愁の音楽〜

このアルバムでは、ピアニストとしてのスヴェトラーノフの演奏も聴くことができます。とり上げられている曲目はラフマニノフの旋律の美しい作品が３つ。楽興の時Op.16-3と楽興の時Op.16-5、それに自身で編曲した『ヴォカリーズ』というもので、どの曲でも深い情感の漂う独特のアプローチが見事というほかありません。特に『ヴォカリーズ』は聴きもので、ゆったりと訥々とした運びの中に無限のニュアンスが込められていて感動的です。
　残りの4曲はオーケストラ作品で、こちらにも『ヴォカリーズ』が収録されており、ピアノ版とあわせて鑑賞できるのが嬉しいところ。アレンスキーの『ノクターン』は、ピアノも交えたロマンティックな雰囲気豊かな美しい作品で、グラズノフの『カレワラにて』もやはり静かな雰囲気が心地よい音楽。リャプノフの交響詩『ジェラゾヴァ・ヴォーラ』はショパン生誕１００年祭の為に作曲されたショパンの生地の名を冠した作品で、これもスラヴ的でほの暗い情趣の癒し系の音楽となっています。
　要するに、全体が『アダージョ・カラヤン』ならぬ『アダージョ・スヴェトラーノフ』といった趣なのですが、作品が作品だけに単なるヒーリング効果だけに終わらない、感動の深さを伴っているのがポイントです。

�@ラフマニノフ：楽興の時Op.16-3
　1974年ステレオ録音
�Aラフマニノフ：楽興の時Op.16-5
　1974年ステレオ録音
�Bラフマニノフ：ヴォカリーズ(ピアノ編曲スヴェトラーノフ）
　1974年ステレオ録音
�Cラフマニノフ：ヴォカリーズ（オーケストラ編曲V.Kim）
　1973年ステレオ録音
�Dアレンスキー：組曲第３番Op.33から第８曲『ノクターン』
　1987年ステレオ録音
�Eグラズノフ：フィンランドのスケッチOp.89から『カレワラにて』
　1990年ステレオ録音
�Fリャプノフ：交響詩『ジェラゾヴァ・ヴォーラ』
　1986年ステレオ録音

�@−�Bスヴェトラーノフ(Pf)
�C−�Fスヴェトラーノフ(指揮)ソビエト国立交響楽団