憂鬱なる党派 上 河出文庫

高橋和巳

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784309414669
ISBN 10 : 4309414664
フォーマット
出版社
発行年月
2016年07月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
409p;15

内容詳細

大学を出て七年、三十歳を過ぎた西村は、平穏な職と家庭を捨てて書き上げた広島原爆の犠牲者たちの伝記を携え、むかしの友人たちを訪ねてゆく。革命の理念のもと、激動の時代を生きた彼らの青春とはなんだったのか?

【著者紹介】
高橋和巳 : 1931年生まれ。1971年に39歳で早逝した小説家、中国文学者。『悲の器』で第1回文藝賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 遥かなる想い さん

    戦後の学生運動が盛んだった時代に生きた 若者たちの その後の物語である。 西村と その友たちの生き様を通して、 そこそこ昔の先輩たちの苦悩が 今に 伝わる。 1971年に早逝した著者が生きた時代の苦悩が重い。卒業して七年、失業者となった西村が 邂逅するかつての友たち …左翼の夢を追い、夢破れた若者は 無念の気持ちを抱えながら どう生きたのか? 上巻は 暴発への序章の印象が強い。

  • 風に吹かれて さん

    時代は1950年代。故郷を原爆で壊滅された青年が原爆犠牲者たちの伝記を著した。出版を実現するため革命を信じ学生運動に身を投じた学生時代の仲間たちを訪ねるところから物語は始まる。ハンガーストライキも行った学生時代。邂逅する仲間たち。作品では、それぞれの学生時代の苦渋に満ちた回想が挿入される。まさに、彼らは『憂鬱なる党派』だ。そういった仲間からも家族からも離れ学問の道を歩もうとする者やマージャンに明け暮れる者、病床に伏せる者もいるが、彼らは『党派』であり続けるのか、そうではないのか。苦渋の物語は下巻へ。

  • 紫の煙 さん

    学生運動に身を投じ、卒業後、郷里で教員をしていた西村は、書きためた原爆の伝記を出版するために、仕事を辞め、家族を置いて、かつての仲間のところを訪れる。西村と彼らは何が違うのか。もの凄い苦悩を感じる。

  • ちゃんむねZWSN さん

    題名どおり「憂鬱なる読書」体験になってしまった。安定した職と家庭を投げうって、自ら著した原爆体験記の売り込みに奔走する西村。困窮しながらツテを探し歩くなかで、かつての左翼学生運動の同志達に次々と再会する。彼らに共通するのは、トゲトゲしい言葉に滲む無念の思い。その心理が事細かに描かれていて興味深い。若さゆえひとつの事を信じ続け、その代償はこんなにも重いものなのか・・従順な西村が、彼を言論で打ちのめそうとする右翼の出版社の長に激昴し、闘争心に火がついたところで、次の展開に不気味さをおぼえながらいざ、下巻へ。

  • Fancy Koh(旧SMOKE) さん

    なにかすごいものを読んでいるような気がする。1950年代の左翼運動に挫折した男たちの物語。この本の帯に「四十六年前。私は『憂鬱なる党派』を手にした男友達と、西日の射すバス停で何台もバスをやり過ごしながら高橋和巳の話をしていた。―小池真理子」とあった。これだけで読みたいと思った。半分読んだだけだけど、僕もこの本について誰かと語り合いたくてしょうがない。

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