捏造の科学者 STAP細胞事件

須田桃子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784163901916
ISBN 10 : 4163901914
フォーマット
出版社
発行年月
2015年01月
日本
追加情報
:
383p;20

内容詳細

このままの幕引きは科学ジャーナリズムの敗北だ

「須田さんの場合は絶対に来るべきです」
はじまりは、生命科学の権威、笹井氏からの一通のメールだった。
ノーベル賞を受賞したiPS細胞を超える発見と喧伝する
理研の記者会見に登壇したのは、若き女性科学者、小保方晴子。
発見の興奮とフィーバーに酔っていた取材班に、
疑問がひとつまたひとつ増えていく。
「科学史に残るスキャンダルになる」
STAP細胞報道をリードし続けた毎日新聞科学環境部。
その中心となった女性科学記者が、書き下ろす。

誰が、何を、いつ、なぜ、どのように捏造したのか?

「科学史に残るスキャンダル」の深層

【目次】

第一章 異例づくしの記者会見

内容がまったく書かれていない奇妙な記者会見の案内が理研から届いた。笹井氏に問い合わせをすると「須田さんの場合は『絶対に来るべき』」とのメールが。山中教授のiPS細胞を超える発見と強調する異例の会見。

第二章 疑義浮上

発表から二週間でネット上には、論文へのさまざまな指摘がアップされた。理研幹部は楽観的だったが、私は、以前森口尚史氏の嘘を見破った科学者の一言にドキリとする。「小保方さんは相当、何でもやってしまう人ですよ」

第三章 衝撃の撤回呼びかけ

万能性の証明のかなめである「テラトーマ画像」と「TCR再構成」。このふたつが崩れた。共著者たちは、次々と論文撤回やむなしの判断に傾き、笹井氏も同意。しかしメールの取材には小保方氏をあくまで庇う発言を。

第四章 STAP研究の原点

植物のカルス細胞と同じように動物も体細胞から初期化できるはずと肉をバラバラにして放置するなど奇妙な実験を繰り返していたハーバードの麻酔医バカンティ氏。STAP細胞の原点は、彼が〇一年に発表した論文にあった。

第五章 不正認定

「科学史に残るスキャンダルになる」。デスクの言葉を裏付けるように、若山研の解析結果は、他細胞の混入・すり替えの可能性を示唆するものだった。一方、調査委員会は、論文の「改ざん」と「捏造」を認定する。

第六章 小保方氏の反撃

「STAP細胞はあります」。小保方、笹井両氏が相次いで記者会見をした。こうした中、私は理研が公開しない残存試料についての取材を進めていた。テラトーマの切片などの試料が残っていることが分かったが。

第七章 不正確定

理研CDBの自己点検検証の報告書案を、毎日新聞は入手する。そこには小保方氏採用の際、審査を一部省略するなどの例外措置を容認していたことが書かれていた。そうした中「キメラマウス」の画像にも致命的な疑惑が。

第八章 存在を揺るがす解析

公開されているSTAP細胞の遺伝子データを解析すると、八番染色体にトリソミーがみつかった。たかだか一週間の培養でできるSTAP細胞にトリソミーが生じることはあり得ず、それはES細胞に特徴的なものだ。

第九章 ついに論文撤回

改革委員会はCDBの「解体」を提言。こうした中、小保方氏立ち会いのもとでの再現実験が行われようとしていた。しかし、論文が捏造ならそれは意味がないのでは? 高まる批判の中、私たちは竹市センター長に会う。

第十章 軽視された過去の指摘

過去にサイエンス、ネイチャーなどの一流科学誌に投稿され、不採択となったSTAP論文の査読資料を独自入手。そこに「細胞生物学の歴史を愚弄している」との言葉はなく、ES細胞混入の可能性も指摘されていた。

第十一章 笹井氏の死とCDB「解体」

八月五日、笹井氏自殺のニュースが。思えば、私のSTAP細胞取材は笹井氏の一言で始まった。それ以降、笹井氏から受け取ったメールは約四十通。最後のメールは査読資料に関する質問の回答で、自殺の約三週間前のものだ。

第十二章 STAP細胞事件が残したもの

〇二年に米国で発覚した超伝導をめぐる捏造事件「シェーン事件」。チェック機能を果たさないシニア研究者、科学誌の陥穽、学生時代からの不正などの類似点があるが、彼我の最大の違いは不正が発覚した際の厳しさだ。

【著者紹介】
須田桃子 : 1975年、千葉県生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了(物理学専攻)。2001年4月毎日新聞社入社。水戸支局を経て2006年から東京本社科学環境部記者。生殖補助医療や生命科学、ノーベル賞などを担当。特にiPS細胞については2006年の開発当初から山中伸弥・京都大学教授のノーベル賞受賞まで継続的に取材してきた。STAP細胞事件では、各関係者への独自取材をもとにスクープを連発。一連の報道をリードし続けた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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この本を読んで強く印象に残ったのは「事件...

投稿日:2015/01/11 (日)

この本を読んで強く印象に残ったのは「事件」の主役の小保方氏ではなく笹井教授・丹羽教授・若山教授といった周囲のオジサン達である。彼らの際立った個性と 能力に比べると小保方氏の存在感はいかにも薄い。しかしそれこそが彼女の実質なのかもしれない。美貌と若さに恵まれているが経験と能力はいまだ未熟、しかし上昇志向は旺盛で目立ちたがり屋、科学界の新たなスターを生み出したいと考えていた周囲のオジサン達のお膳立てに安易に乗っかってしまった研究者のタマゴ。彼女の実像はそんなところだろう。 実験質で割烹着を着てポーズをとり、マスコミのカメラに撮影されている小保方氏 を見て、須田記者は「さながらアイドルの撮影会のようだったが」(29ページ)と感じたという。彼女は最初”プロデュースされたアイドル”だったのかもしれないが、小保方氏本人や周囲のオジサン達の意図を遥に超えて、恐ろしく巨大な怪物に 成長してしまった、ということなのか。

金山寺味噌 さん | 愛知県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 遥かなる想い さん

    第46回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。 「STAP細胞事件」を追った労作 である。 ips細胞を越える発見か!で 始まる小保方フィーバーと その後、明らかになる疑惑 の数々…科学史に残る スキャンダルになるかも しれない…新聞では 繋がらない出来事が 記者の眼で語られており、 迫力がある。 一体STAP細胞とは 何だったのか? 研究者として絶対やっては いけない捏造行為と 関連研究者たちの戸惑い… まだ終わらないSTAP細胞事件 を描いた良書である。

  • mitei さん

    いわゆるSTAP細胞事件についてジャーナリストの著者が書いた1冊。記者って色々調べてるんだなと感心した。しかし笹井さんがこの事件で一番の被害者のイメージ。

  • ナイスネイチャ さん

    図書館本。まず専門的知識がなくついていけず。小保方氏が稚拙だった事と理研や周りの人間のチェックが甘い事など報道で知っていた内容でもう少し群がった研究者、記者、組織など心情含め掘り下げて欲しかった。

  • starbro さん

    図書館の予約に出遅れて、約半年遅れで読みました。著者は新聞社のサイエンスライターだけあって、解りやすく読みやすい文章で一気読みしました。しかし私が知りたかった何故STAP細胞事件は起きたのかという謎は解らず終まいでした。小保方晴子が「STAP細胞はあります。」と明確に言い放ったあの力強い言葉は何だったのでしょうか?小保方晴子は、頭脳明晰ながらオジサマキラーで虚言癖があり、かなりアバウトな研究者だったということで良いのでしょうか?

  • 文庫フリーク@灯れ松明の火 さん

    「このように犯罪人扱いしたような形で科学の行為を検証することは、あってはならないことだと思う」24時間監視カメラ他、厳重な管理下で行われた小保方さんの検証実験。結果を受けて、厳しい口調で放った相澤総括責任者のコメントが強く印象に残り、このノンフィクションを読む切っ掛けとなった。このSTAP問題が世界の三大不正論文事件と認識されていることも、恥ずかしながら知らなかった。頭は抜群に良いが人間として未熟な科学者と、ips細胞を凌駕する画期的な成果を獲得したい理研、実績ある研究者など諸々の思惑が絡み合って起きた→

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須田桃子

1975年千葉県生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了(物理学専攻)。2001年毎日新聞社入社。2006年から東京本社科学環境部記者。STAP細胞事件について書き下ろした『捏造の科学者―STAP細胞事件』で大宅壮一ノンフィクション賞、科学ジャーナリスト大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行さ

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