悲しみと無のあいだ

青来有一

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784163903033
ISBN 10 : 4163903038
フォーマット
出版社
発行年月
2015年07月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
148p;20

内容詳細

長崎の被爆にこだわりつづける芥川賞作家の、思索と創作イメージの深まりを示す2篇。

原爆で妻と子どもを喪った自由律俳句の俳人、松尾あつゆきの日記を読みながら、「被爆者の証言やエピソードを粘土のようにこねまわして物語(フィクション)をこしらえてきた」自分へのうしろめたさを意識する「わたし」。林京子さんの「自由に書いていいのですよ」という言葉から、さらなるイメージの飛翔がはじまる――。【「愛撫、不和、和解、愛撫の日々」】

戦争を経験し、原子爆弾の光景を目撃した父の病死。家族と葬儀の準備をしながら「わたし」は、言葉をもたず、その光景を語らなかった父のかわりに、「感傷に流されることなく人間のしわざを告発するなにかを書くことができないか」、模索を始める。
愛読してきた作品……フォークナーの『八月の光』や宮沢賢治の『よだかの星』、アンリ・デュナンの『ソルフェリーノの記念』やクロード・シモンの『フランドルへの道』にインスピレーションを得て文体を掴み取り、「廃墟のなかをさまよう十六歳の父の内奥にしみこんでいった被爆の実相」を書こうと試みる。
それが「しょせんは想像でしかない」、「なにもわかりもしない」、なぜなら「わたしたちはついに語り合えなかった」のだから、と自らを戒めながらも、作家は想像力の翼をひろげ、その日の長崎を描き出そうとする。【「悲しみと無のあいだ】

【著者紹介】
青来有一 : 1958年長崎県長崎市生まれ。長崎大学教育学部卒業。1995年「ジェロニモの十字架」で文學界新人賞、2001年「聖水」で芥川賞を受賞。2007年『爆心』で伊藤整文学賞、谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • chimako さん

    難解であった。「愛撫、不和、和解、愛撫の日々」は被爆して妻と3人の子どもを亡くした歌人松尾あつゆきの歌と日記を通して原爆を語らずにはいられない自身の在りかたを伝える。原爆を生き残った作家林京子の言葉がずしりと重い。表題作「悲しみと無のあいだ」は作者が父を亡くして家に連れて帰る車の中で、終わり無く思い巡らす「原爆を書く」ことに関するレポートの趣。作中作のように挟まれた作者の父にとっての原爆の話はフランスの作家クロード・シモンの文体の中に自らの表現を見つけ書かれたセンテンスの長い 惨い事実か。難しい。

  • みどり さん

    父と子、時代、テキスト間のゆらぎ、その「ざわめき」を伝えるための文体で表現される原爆の実相。無ではなく悲しみを選び、戦後長崎でフィクションにしかなりえない文章をどのように表して記憶としてつないでいくか。

  • 勉誠出版営業部 さん

    青来有一さんの『悲しみと無のあいだ』を読了。純粋な小説というよりも、エッセイに近い印象が…。

  • mick さん

    原爆をテーマとした文学に取り組むことの難しさ、苦しさから始まる。エッセイと小説、書評らしきものまでが融合している。父の癌から葬儀までの様子を読み、逆縁にならぬ限りいずれ直面するであろう親の死が急に現実味を帯びて感じられ衝撃を受けた。広島の原爆についてはいろいろ読んだり、話を聞くことが多かったがゆえに、長崎についてはあまり知らないことにも気づいた。多くの事を考える時間になった。

  • gontoshi さん

    亡くなった父への思いが伝わって来ます。

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