夜の潜水艦

陳春成

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784908184437
ISBN 10 : 4908184437
フォーマット
出版社
発行年月
2023年05月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
246p;20

内容詳細

一九六六年のある寒い夜、ボルヘスは汽船の甲板に立ち、海に向けて一枚の硬貨を抛った。―『夜の潜水艦』僕は、この鍵はUSBメモリで、家はまだ完全な状態でこのメモリの中に保存されているだけなのだと想像した。―『竹峰寺鍵と碑の物語』奇妙なペンは、液状のオーロラで満たした試験管のようでもあった。―『彩筆伝承』僕の日常業務は雲の剪定やメンテナンス、広告の印刷、剪定所の運営維持だ。―『裁雲記』しなやかな始まり、雄大な続き、玄妙な転換、そして虚無の終わり。―『杜氏』変な感じがする、と彼女は言った。ちょっと感動するし、とても「ちゅんとする」ような気もする。―『李茵の湖』隕鉄は夜空の星屑だから、夜空そのものを煮つめた液体で焼き入れをしなければならない。―『尺波』彼の内心の聴覚はとても強く、楽譜を読みさえすれば音符の奥底に潜むイメージを見ることができた。―『音楽家』

【著者紹介】
陳春成 : 1990年中国福建省寧徳市生まれ。土木系学部に進学し、専門を学ぶかたわら詩や散文を書く。卒業後、造園技師として地元の植物園に勤務しながらSNSや文芸誌で小説を発表。2019年、「音楽家」が文芸誌『収獲』中篇小説賞を受賞

大久保洋子 : 1972年東京生まれ。北京師範大学文学院で中国近現代文学専攻。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • たま さん

    2020年出版、翻訳が2023年。未知の作家さんで初読みだが、読メのご感想に惹かれて読んだらとても私好みでした。詩的でしかも読みやすい文章で水墨画の深山幽谷に光が射し色が溢れ渓流が迸り鳥の声が谺する。「夜の潜水艦」のボルヘスと海底の硬貨、「竹峰寺」の鍵と古い家の記憶−呼応する生の感覚が(若い人の感性だと思うが)作品に神秘的な色合いを添える。ファンタジー色の濃い短編もどこか屈託がなくて明るい。中国でとても人気があるそうだが、村上春樹のデビュー(風の歌を聞け)時を思い出す。若い世代に支持されるのも宜なるかな。

  • かもめ通信 さん

    1990年生まれ、福建省出身の若手作家の作品集。収録作品は、夜の潜水艦/竹峰寺 鍵と碑の物語/彩筆伝承/裁雲記/杜氏/李茵の湖/尺波/音楽家の8篇。とりわけ気に入ったのは「彩筆伝承」「李茵の湖」「音楽家」あたり。また一人、追いかけなければと思う作家に出会った。

  • フランソワーズ さん

    多様なスタイルを持つ小説家ではあるが、主人公たちの根底にあるのは自己の中にある煌めき(酒造り、小説、音楽など)を何よりも大切に抱き続けていること。それは名声を遥かに超えると考える高踏的な主人公たち。そして文章がまさしく、”悠久の歴史を持つ中国”っぽい。お気に入りは、『彩筆伝承』、『杜氏』(『音楽家』も良かったけど、わたしにクラシック音楽の知識が全くないために、肝心なところが理解できなかった)。

  • きっち さん

    粒ぞろいの短編集だった。表題作は、ボルヘスが海に投げ入れたコインと、少年が妄想した潜水艦が深い海の底で一瞬交差するはなし。冒頭におかれたこの作品を読み終わった瞬間、「これは、全作品おもしろい短編集だ」と、全作品を読む前に確信した。ごく稀にそう言う短編集に出会う。収録されている作品のほぼすべてが、現実からはじまり、そこに幻想が入り込み、どちらも両立させたまま終わる。いま誰かに「なにか面白い本ある?」と聞かれたら、まちがいなくこの短編集を推す。

  • timeturner さん

    とてもよかった。悟りを開いた老賢人の心と、感受性の柔らかい若者の心が水と空気のように溶け合った静かで落ち着く幻想世界に遊んだ気分。読み終えてから気づいたのだが、全体主義社会で生きる個人が、自分だけの想い出や自分が生み出した作品、あるいは夢といった大切なものを、どこか(物理的な場所であることも心の中であることも)に隠す話が多い。そうした「個性」を摘み取ろうとする社会を描いたのが「裁雲記」なのだろう。

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陳春成

1990年中国福建省寧徳市生まれ。土木系学部に進学し、専門を学ぶかたわら詩や散文を書く。卒業後、造園技師として地元の植物園に勤務しながらSNSや文芸誌で小説を発表。2019年、「音楽家」が文芸誌『収獲』中篇小説賞を受賞

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