レモンタルト

長野まゆみ

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784062158299
ISBN 10 : 4062158299
フォーマット
出版社
発行年月
2009年10月
日本
追加情報
:
20cm,188p

商品説明

若くして姉が逝き、士は義兄と一軒家に暮らしている。会社での密かな仕事、不思議な事件の数々、募る義兄への想い。モダンでお洒落な連作短編、新シリーズ。

「もう、ずっと前から義兄(あに)のことが好きだった」
ミステリアスでスウィートな義兄(あに)と弟(わたし)の物語

若くして逝った姉。遺された義兄と私。一軒家でのふたり暮らし、会社での秘められた仕事。不可思議な事件の数々。――

あすは、姉の彼岸参りにゆく。出張に発つまえの義兄から、<ミス・レモン>のレモンタルトを前日にホールで買っておくようにと云いつかった。姉の好物だったスイーツである。……姉と義兄は、結婚したときに話しあって、たがいの親族とは縁のない墓園を永眠の地としてさだめた。その地を選ぶにあたっての見学会には、まったく関係のない私もつきあわされた。のちのち墓守りを任せるのだから、というのが姉の理屈だ。年の順で死ぬとはかぎらないし、そもそも姓がちがうと口にしてみたが、姉はすでに私の話を聞いていなかった。景色に見とれていたのである。――<本文より>

内容詳細

若くして逝った姉。遺された義兄と私。一軒家でのふたり暮らし。会社での秘められた仕事。不可思議な事件の数々。―ミステリアスでスウィートな義兄と弟の物語。

【著者紹介】
長野まゆみ : 東京都生まれ。1988年『少年アリス』で文藝賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • pino さん

    傘って、雨風さえ防げれば、いいってものじゃない。よく吟味して選ばないと。街中で開くと、傘の存在が思った以上に大きくて自分の趣味を晒しているようなもんだ。まして、貰ったり、盗んだりした傘なんて居心地悪い。忙しない街中では誰も気にしてないだろうけど。この本、図書館の「美味しいご馳走、団欒で」のコーナーに置いてあった。本も開いて読むまでは分らない。男同士の友情、以上の物語だった。それを理解するまで10文字分くらいの時間差を要した。長野さんのキビキビした文章に引きずられるように読む。好きな世界。でもアチコチ痛い。

  • あつひめ さん

    久しぶりの長野ワールド。レモンタルトなんて甘酸っぱいタイトルにひかれて手を伸ばした。相変わらず甘酸っぱさと草からたちのぼる青臭さ。それが不快ではなく、もどかしさに感じるから、私も生きる世界が違うのかしら…と不安になったり。男性が男性を求める…甘ったるい感情よりもスポーツのような風のようなものに見える。しかし…この秘密めいた雰囲気。現実に目の当たりにしてみたいなぁ。 タイトルで爽やかさを求めたけど、ちょっと違ったな。

  • chimako さん

    ふわふわとした浮遊感の有るBL。こういうお話しは嫌いじゃない。傘が持ち込むのは厄介事なのか、思いがけないプレゼントなのか。姉が亡くなり夫だった義兄と二世帯住宅で二人暮らしをする主人公は人には言えない雑用をこなす大企業の総務課勤務。父はこの会社の役員だったので縁故採用。見た目は暇そうで使えない社員を装う。義兄はエリートで、見目麗しい。上司のYは辛辣だが愛情深くこれもまた麗しい。見た目も頭も良い男の人は嗜好はどうあれ何となく安心できる。レモン風味のカスタードが美味しいレモンタルトが好み。凝ったケーキよりも。

  • 青蓮 さん

    久し振りの長野作品でした。日常にふと起こる事件を描いた連作短編小説。亡き姉の夫・一哉へ密かに想いを寄せる士が主人公。士がピンチの時に颯爽と現れる義兄が格好いい。好きな義兄からはただの弟扱いなのに、周りにいる男からはやたらモテる士が何となく可愛そうな気も。義兄は士の気持ちに気付いているのかな。多分、知っていて素知らぬフリをしているうなき気がする。何処までいっても彼らは交わることはないんだな、と思うと二人の関係を象徴するようなレモンタルトの甘酸っぱさが胸に広がります。

  • 芽 さん

    主人公がなんとも不憫。 会社でいいように使われて周りから僻まれている。 でも、義兄のお母さんが気の利かせて二人っきりにさせてくれるのが微笑ましかった。

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長野まゆみ

東京生れ。1988年『少年アリス』で文藝賞受賞。2015年『冥途あり』で泉鏡花文学賞、野間文芸賞受賞

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