基本情報
内容詳細
第30回坪田譲治文学賞受賞作品。
『No.6』『バッテリー』のあさのあつこ氏が絶賛の青春小説。
中2の6月、美羽は、学校というところは友だちをつくったり、楽しく過ごすための場所ではなく、「公共塾」だと考えることにした――。
いじめの首謀者である水泳部の先輩に逆らい、暴力を振るったことで、浮いた存在になってしまった美羽は、転校してきたオールドファッションなヤンキー娘・幸栄に対し、「かかわりたくない」と強く意識しながらも、まるで空気を読まずにからんでくる幸栄との接点が、どんどん増えていく自分に気がつく。
夫から「お姫様扱い」されながらも、浮気され、家を出て行かれた母親が徐々に自立していく過程や、病弱な弟の世話に明け暮れるクラスメート・唯のむき出しの本心に触れながら、美羽自身も、自分だけの世界にとどまらず、世界と自分とのつながりに目を向けはじめ、そここそが輝いていることに気がついていく。
かつて中学生だった大人に捧ぐ、リアルな青春小説。
『No.6』『バッテリー』のあさのあつこ氏が絶賛!(以下、推薦文)
ここには、少女たちの生身がある。
彼女たちは脆くも美しくも繊細でもない。
それぞれの現実を確かに生き抜いている。それだけだ。
それだけなのに、美羽の唯の幸栄の存在が
荒々しく迫ってくる。想いがゆっくりと染みてくる。
こんなにも静かで激しい物語に初めて触れた。
文庫版解説は、ひこ・田中氏(翻訳家)。
【著者紹介】
長崎夏海 : 1961年、東京都生まれ。都立城北高校卒業。2000年、『トゥインクル』で第40回日本児童文学者協会賞、’15年、『クリオネのしっぽ』で第30回坪田譲治文学賞を受賞。’24年12月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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