日本のセーフティーネット格差 労働市場の変容と社会保険

酒井正

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784766426496
ISBN 10 : 4766426495
フォーマット
発行年月
2020年02月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
酒井正 ,  
追加情報
:
352p;20

内容詳細

誰が「皆保険」から漏れ落ちているのか。働き方が多様化する中で、正規雇用を前提としていた社会保険に綻びが生じている。「雇用が不安定な者ほどセーフティーネットも脆弱」というパラドキシカルな現状にどう対応すべきか。救済策は社会保険の適用拡大しかないのか。今後の改革のための指針を、しっかりした「エビデンス」をもとに模索する力作!

目次 : 序章 日本の労働市場と社会保険制度との関係/ 第1章 雇用の流動化が社会保険に突きつける課題1―社会保険料の未納問題/ 第2章 雇用の流動化が社会保険に突きつける課題2―雇用保険の受給実態/ 第3章 セーフティーネットとしての両立支援策/ 第4章 高齢者の就業と社会保険/ 第5章 社会保険料の「事業主負担」の本当のコスト/ 第6章 若年層のセーフティーネットを考える―就労支援はセーフティーネットになり得るか/ 第7章 政策のあり方をめぐって―EBPMは社会保障政策にとって有効か/ 終章 セーフティーネット機能を維持するために

【著者紹介】
酒井正 : 1976年生まれ。2000年、慶應義塾大学商学部卒業。05年、同大大学院商学研究科後期博士課程単位取得退学。08年、博士(商学)号取得。国立社会保障・人口問題研究所研究員、同室長、全米経済研究所客員研究員などを経て、法政大学経済学部教授。『日本労働研究雑誌』の編集委員も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • えちぜんや よーた さん

    第6章で紹介されている就労支援の本当の目玉政策は、日本的雇用慣行(年功序列・終身雇用・企業別組合・新卒採用とそれらからもれた人を差別する習慣)の解体であることが記されている。そこを切り崩さないと何をやっても小手先の支援になるだろう。あとは産業の新陳代謝かな。新しい産業が勃興すれば、そこに新しい雇用が生まれる。平成が「失われた30年」と言われて久しいが、せめて20年前に日本的雇用慣行をつぶしておけば良かったのに。読みながら「もう遅い」と感じてしまった。

  • yhirose254 さん

    Evidence-Baced Policy Makingの限界と難しさ、そして重要性の議論は面白かったけど、それ以前に今の日本では、測定指標を適正に選ぶリテラシーが不十分な気がして仕方がない(大阪府を初めとするコロナの指標の恣意性を持ち出すまでもなく)。閑話休題、就業とセーフティネットについて素人にも分かりやすく説明してくれる好著、願わくは著者が求める「現役世代のセーフティネット格差」が是正されんことを!

  • ゲオルギオ・ハーン さん

    専門書のような装丁だが、中身は社会保障の諸制度を「雇用」関連に着目して選び、それぞれ章に分けて解説している。おかげで社会保障制度に疎い私でも最後まで考えながら読むことができた。雇用に着目しているのは正規と非正規によるセーフティーネットの充実度に格差が出ているため。現在の政府の解決方針は適用範囲を広げることだが、適用範囲が広がる=社会として適切に分配することではないと各制度の現状を説明して指摘している。政策形成でのデータの取扱いや政策目的によって会議メンバー選定も注意すべきでは言及している視野が広い一冊。

  • contradiction29 さん

    社会保険をはじめとする日本のセーフティネットには、格差をそのまま温存させてしまう仕組みが存在する。そのことを、雇用保険や保育園の制度、年金制度などの具体的な側面から論ずる。社会保険料の未納世帯が増え、高齢期に貧困に陥る世代が今後増加することが見込まれる現代において、どのような社会保障を築いていくべきなのか、その「調整」を提唱する。卒業論文の参考文献として読んだが、社会保障や労働市場政策に関する文献を整理した、という側面もかなりあるため、学術書としても読みやすい。第七章のEBPMに関する章は必読

  • jackbdc さん

    終盤2章のバランス感覚に優れた課題整理は納得性が高い。要するに経済学者の立場からEMPMの重要性を述べているものであり、政策でシステムを新規・変更する際には、新システム(公助)と伝統システム(自助共助)のバランスに注意しましょう。その理由は前者は現状不足しがちだが、強化しすぎると後者を壊すから、という至極真っ当な話であった。不満な点としては、セーフティーネットという言葉は多義的過ぎて読み手を混乱させる。支援ニーズはパーソナリティによっても全く一様ではない。冒頭で丁寧に説明してくれるとありがたいと思った。

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