中東政治学

酒井啓子著

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784641049970
ISBN 10 : 4641049971
フォーマット
出版社
発行年月
2012年10月
日本
追加情報
:
280p 21cm(A5)

内容詳細

2010年12月、チュニジアで一人の露天商が焼身自殺を図った。この事件をきっかけに起こった反政府デモは、瞬く間に広がり、時の大統領を亡命にまで追いやった。その波は、エジプトをはじめとしたアラブ諸国全体に及び、いまなお動乱が続いている。このような稀有な政治変動の機会を迎えて、中東政治研究はいま、大きな試練と飛躍の可能性に直面している。本書は、中東諸国で起こっている現象を、政治学の枠組みを用いるとどう分析できるのかを示したものである。特に、従来の比較政治学では必ずしも十分に議論されてこなかった、公的制度と非公的制度の関係(第1部)、宗派・部族といった伝統的社会紐帯(第2部)、政治制度外で展開される社会運動(第3部)、アイデンティティや運動の越境性と国際政治(第4部)について、中東の事例を通して、説明する。

目次 : 中東政治学―地域研究と比較政治の架橋/ 第1部 誰が支配しているのか―体制維持のための統治メカニズム(エジプト権威主義体制の再考―ムバーラク政権崩壊の要因/ シリアにおける権威主義体制のしくみ―政治構造の分析を中心に/ サウディアラビアの体制内権力)/ 第2部 どの対立を調整するのか―民主化と伝統的社会紐帯(イエメンの民主化と部族社会―変化の中の伝統/ レバノンにおける多極共存型民主主義―2005年「杉の木革命」による民主化とその停帯/ 外部介入によるイラクの民主化/ アフガニスタンにおける統合と部族社会)/ 第3部 どこで衝突しているのか―路上抗議運動の意味と展開(イランにおける抗議運動―政治空間の変容と公的主張/ エジプト政治の民主化と社会運動―「1月25日革命」とムバーラク政権の崩壊/ パレスチナにおける抵抗運動の変容)/ 第4部 誰が参加できるのか―国境を超えるアイデンティティと国際政治(パレスチナ問題はなぜ国際的広がりをもつのか―アラブ、イスラーム諸国およびアメリカとのつながり/ 中東におけるトランスナショナルな関係―国民意識への挑戦か喚起か/ 湾岸諸国における移民労働者/ 中東における「介入」の位相)

【著者紹介】
酒井啓子著 : 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ドウ さん

    政治学上に蔓延する「中東例外論」への問題意識に基づき、政治学と地域研究とを架橋するものとして各国の「アラブの春」前後の状況などを論じた本。普段から地域研究への1つのアプローチとして政治学理論があると考えている私には、本書の目的そのものが疑問ではあったが、短く簡潔にまとめられた各論はいずれも勉強になるところが多く、特に第12章の酒井のナショナリズムをめぐる論考は面白かった。欲を言えば、君主制国家における「アラブの春」の視点があればより深く事例分析が可能だったのではないかなと思う。

  • vladimir0315 さん

    中東諸国は往々にして民主主義国ではない。そのため意思決定プロセスが複雑であったり、一般に明らかにされてない部分が多い。本書は中東諸国に疎い一般読者を念頭に、平易な文章で説明されている。私的に一番おもしろかった部分はエジプトの政治構造で、エジプトの革命で軍部がなぜ一般民衆の側についたのかという部分がとても有益であった。

  • katashin86 さん

    14章はいずれも短いけどしっかりした内容で、エジプトからアフガニスタンまで地域的な偏りもなく中東のいまをとらえるのに好適な本。 2012年刊行だからもちろんシリアのさらなる?混乱についての言及はないが、「アラブの春」についてはもう少し掘り下げてくれるとなおよかった。

  • Kenji Suzuya さん

    中等を地域研究ではなく政治学の視点から扱おうとする、おそらく日本語では初めての書籍。権威主義体制論、レンティア国家論、部族社会、介入、民主化などのトピックが網羅的に含まれており、また対象国家も偏りがない。政治学としての水準は十分見るに価する。しかしまだまだ理論的な部分は弱いと言わざるを得ず、さらにいえばそれぞれの共著者の関心領域の寄せ集めに過ぎないとも言える。政治学として国際的研究水準に乗せるには、まだまだ努力と深化が必要であろう。

  • Eli さん

    中東の政治形態は、王制ではありますが、絶えず内部の敵と外部の敵の存在を意識せざるを得ず、そのためにイランのような動く気はないけど大国を批判せざるを得ない、という国家の生き残りをかけた駆け引きと去勢の実態が分かりやすく書かれています。 この本を読む前に戦争と経済の行動学を読むと理解の助けとなるのでオススメです。 中東と名あるように、パレスチナ問題にも触れています。置き去りにされた住民の不憫さを感じずにはおれず、利益重視の政権の姿勢を見ると、民主化は程遠いと感じざるを得ません。 中東政治理解への良書です。

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人物・団体紹介

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酒井啓子著

千葉大学法政経学部教授。専門はイラク政治史。現代中東政治。1959年生まれ。東京大学教養学部教養学科卒。英ダーラム大学(中東イスラーム研究センター)修士。アジア経済研究所。東京外国語大学を経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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