建礼門院右京大夫集 講談社学術文庫

糸賀きみ江

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784062919678
ISBN 10 : 4062919672
フォーマット
出版社
発行年月
2009年10月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
15cm,472p

商品説明

壇ノ浦に消えた恋人・資盛――『平家物語』の叙事詩的世界を抒情詩で綴りあげた可憐な名品

建礼門院徳子の女房として平家一門の栄華と崩壊を目のあたりにした女性・右京大夫の追想の記。歌と管絃と恋に生きた宮仕えの春秋、最愛の人資盛を壇ノ浦に喪ったあとの悲嘆の日々……明暗の折々に詠まれた歌360余首と詞書とが濃密に結び合う。『平家物語』の叙事詩的世界を抒情詩で描き出した日記的家集の名品を情趣豊かな訳と注解で味わう。

『平家物語』が男たちの視点で平家の興亡を描いているのに対して、『右京大夫集』は女性が平家一門の栄華と崩壊を目のあたりにした追憶の手記であり、叙事詩的世界を抒情詩によって表現した作品と言えようか。従って『平家物語』が語る人間像と『右京大夫集』が伝える平家の人々との間にはかなりの距離があることに気付かされる。つまり、朝夕見馴れた一門の人々を内側から悲しみをこめて回想し、『平家物語』からはうかがわれない普段の素顔を見せているのである。――<「解題」より>

内容詳細

建礼門院徳子の女房として平家一門の栄華と崩壊を目のあたりにした女性・右京大夫の追想の記。歌と管絃と恋に生きた宮仕えの春秋、最愛の人資盛を壇ノ浦に喪ったあとの悲嘆の日々…明暗の折々に詠まれた歌三百六十余首と詞書とが濃密に結び合う。『平家物語』の叙事詩的世界を抒情詩で描き出した日記的家集の名品を情趣豊かな訳と注解で味わう。

目次 : 上冊 宮仕えの春秋(序―わが目ひとつに見むとて/ 雲の上に光見る/ 輝く雲の上にいて/ 貴公子との交流/ 若き日の維盛 ほか)/ 下冊 追憶と鎮魂の祈り(寿永元暦の夢まぼろし/ 月にしぼる袖/ 思いたゆむことなき明け暮れ/ 風のおびただしく吹く夢に/ 死を思う ほか)

【著者紹介】
糸賀きみ江 : 1926年茨城県に生まれる。東北大学文学部国文学科卒業。共立女子短期大学教授、青山学院大学文学部教授などを歴任。中世和歌文学・女流日記文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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古文を読めるようになりたいと思い購入しま...

投稿日:2021/02/23 (火)

古文を読めるようになりたいと思い購入しました。歌集なので分かりにくいかなと思っていましたが、ハンディな文庫本なので手軽にどこでも読めますし、和歌の前の詞書も長く、原文、現代語訳、語彙、解説がバランスよく書かれており満喫しています。

タラ さん | 東京都 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • しゅてふぁん さん

    平家一門の栄華と崩壊を目の当たりにした、建礼門院右京大夫による恋と追憶と鎮魂の手記。彼女の名前は平家物語には登場しない。歌は採られているが「ある女房」や「ある人」のような記述しかない。資盛の恋人で建礼門院徳子の女房として平家の人々と近しい位置にいたのにな。平家都落ちの時には既に宮仕えを退いていたからかな。それとも、通盛の側室、小宰相のように後追いしていたら登場していたのかな。(←そうしていたらこの作品は存在しないのだけど) 古典を読むとどうしてもたらればを考えてしまう。でもそれが楽しい。

  • しゅてふぁん さん

    歌集だけれど、詞書が長く歌物語のような作品。読み終えた今の感想は‘この作品に出会えて良かった’の一言に尽きる。前半部分、後宮での平家の公達との交流はまるで枕草子を読んでいるようで楽しかった。後半は平家の都落ち、恋人の資盛との別れ、そしてその死を知りひたすらに鎮魂の日々を送るというものだった。平家物語を女性側から見た作品なのかな。平家に関しては詳しくないし、平家物語も有名箇所しか知らないので、それを読んだあとに読むと、きっと今とはまた違った読後感を味わえるんだろうな。それはとても楽しみだ。

  • ひさしぶり さん

    学問諸芸に多彩な家系で高倉天皇の中宮平徳子(建礼門院)に仕えた右京大夫。和歌の前書きが日記のような趣で才が溢れ出てる。まじかで平家の栄華もその衰退も見て史実的に信頼できる。恋人資盛より「後の世をかならず思いやれ」と頼まれ(すくふなる 誓ひたのみて 写しおくを かならず六つの 道しるべせよ) 北山の縁の地が聖の物なったのを記し、大原に建礼門院を訪ねて記す。星月夜のあわれと七夕の歌は心奪われる。前に戻って「うたげの追憶」(かたがたに 忘らるまじき‥)(心とむな 思ひでそと いはむだに‥)を読むと切なくなる。

  • 剛田剛 さん

    平家物語は例えば粟津の松原で木曽義仲の首を獲った人物によって書かれたわけではなく、また檀ノ浦で能登守教経の矢先から逃れた人物によって書かれたわけでもない。作者の視座はあくまで京の、宮中付近の、貴族のものであり、この建礼門院右京大夫の視座と非常に近しいものである。ゆえにこの作品は、平家物語を生んだ彼に、「物語になる前の平家の運命」がどのように見えていたかを我々に教えてくれる。

  • 悠 さん

    あまりに美しい和歌の数々。作者の瑞々しく無邪気な眼差しを通して見る平安の世は、とても透き通っていて、自然の美しさが際立っています。資盛との恋も物哀しく、冬の星空のような透明感があります。本書で最も有名なのは「星月夜のあわれ」かと思われますが、「夕暮れに花橘かおる」「春たつ日」「雪の朝の橘の追憶」などが個人的には好きです。何回でも読み返したくなる、素敵な歌集です。

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