CD

Afro Blue

笹路正徳

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
XSCL2
組み枚数
:
1
:
日本
フォーマット
:
CD

商品説明

前作『バードランド』の好評を引き継いで、本作もジャズを正面から捉えた超推薦アルバム。笹路正徳の軌跡はそのまま、戦後のジャズメンたちが辿った道に近い。有能なミュージシャンたちが、編曲や作曲を手掛け、やがて、プロデューサーとして、ジャズ以外のジャンルでその才能を磨き再びジャズの世界でその才能を一層輝かせるという最もいい例だろう。

 初っ端の“モーメンツ・ノーティス”を聴いただけで、笹路の本気が聴く者に伝わってくる。ここでソロを採るのは西海岸のベテランとして、「Criss Cross」などからジャズ作品を発表している、テナーのピート・クリストリーブだ。スタジオをこなすピートはまだまだ元気、納得のソロを引き継ぐのは、いまや最高のドラマーの一人となったピーター・アースキン。

 “モーニン”を採り上げても少しも古くならない編曲は、笹路、そして、ジェリー・ヘイ指揮という、コンテンポラリーなジャズを推進する二人の勇者によって行なわれている。シーウインドでのジェリーの僚友ラリー・ウイリアムスはここではテナーサックスでソロをとっている。

 2002年9月23〜26日にLAで録音された本作は、前半2日がリハーサル、後半2日が本番というスケジュールで行なわれた。

 ウォーレン・ルーニングの切れのいいトランペット、笹路正徳のロマンティックなソロを挟んで、再びピートがソロをとる“ソー・ニア、ソー、ファー”。

 アルバム・タイトル・ナンバーの“アフロ・ブルー”は、コンテンポラリー・ジャズのブランダン・フィールドのセクシーなアルトのソロで幕を開ける、珍しくもエキサイティングな編曲。デイヴィッド・サンボーンをスマートにしたようなブランドンの最近の好調ぶりを証明するソロが続く、ジミー・ジョンソンの雄飛するベースが印象的だ。デイヴ・カーペンターとの資質の違いを見せてくれる演奏だ。それにしても気持ちのいいスイング感は、コンサバティブなジャズファンも、コンテンポラリー・ジャズ・ファンも納得のグルーブを持っている。

 うって変わった“テル・ミー,,,”は、ブランダンのソプラノが、スムース・ジャズ的に使われた、リラックスした演奏。笹路が持つ新しい感覚が生かされた演奏だ。トム・タルバート・ビッグバンドなどで活躍するアンディ・マーティン(tb)のソロも、ブランドンに誘導された、ネオモダンなソロになっている。

 “キャラヴァン”は笹路の手によって、息を吹き込まれ、見事なコンテンポラリー・フュージョンに生まれ変わった。ここではレニー・カストロのパーカッションが主役といっていいだろう。ピートのソロを凌駕して、デュークのこの作品のグルーブ感を抽出してくれる。この曲はSACD−マルチで聴いてみたくなる演奏だ。粒立ちの揃った音が固まりにならずに迫ってくる。

 元TOTOのジョセフ・ウイリアムスのヴォーカルをフィーチャーした“、ビリー・ストレイホーンの名作、”ラッシュ・ライフ”は、編曲の中に歌が組み込まれた作品。ほとんどメロディを崩さずに歌う歌に続いて、ミュートをかけてアンディが再び登場、端正な演奏が彼の持ち味だ。

 “サマータイム”、数多くの名唱名演が残されているこの曲も、ジョセフをフィーチャーし、シャッフルしたリズムからスロー・レゲエのリズムを使ってモダンに仕上げた笹路のアイディアが光る。フリューゲル・ホーンのソロは、ロン・スタウト。ここでもジミーのベース・ワークが目立たないが光っている。

 デイブ・ブルーベックの“イン・ユア・オウン,,,”は、ウォーレン・ルーニングが実力を発揮、原メロディをデフォルメした優雅なソロを展開、笹路の編曲もソリストをヘルプする見事なグルーブを持っている。カーペンターの思いベースがここではピッタリくる。この使い分けも見事、ブランダンのソロは、この曲にはやや新しすぎるか。

 最後に登場は“バビロン・シスターズ”!『Aja』の“Deacon Blues”でソロをとっていたのは、前述のピート・クリトリーブだが、ここでは笹路のローズと、ダン・ヒギンズのソプラノが、爽快感とともに、新時代の感覚、そして、LAライクなサウンドを演出して、このアルバム全体に爽快な感覚を付け加えてくれた。

 高音質レコ−ディングとして、始まった笹路のLAプロジェクトだが、第2作を迎えて高音質を好むファンだけでは飽き足らない、現代の最高の「コンテンポラリー・ジャズ」を待ち望んでいるファン必聴の作品に仕上がった。

内容詳細

2000年の『バードランド』以来2年ぶりのロス録音は、再びジェリー・ヘイやラリー・ウィリアムスらの腕利き職人とのビッグバンド・プロジェクト。が、使い古しの型紙を転用せず、音楽のカラーは攻め一色。生き生きとしたメンバーの表情が透かし見えた。(正)(CDジャーナル データベースより)

収録曲   

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