「超」音楽対談 オーケストラに未来はあるか

浦久俊彦

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784865592429
ISBN 10 : 4865592423
フォーマット
発行年月
2021年09月
日本
追加情報
:
447p;19

商品説明

山田 今日もすぐ終わりますよ。「オーケストラに未来はあるか?」「ない!」で終わり(会場爆笑)。
浦久 そういわれてしまうと、もう身もフタもない(笑)。
〜〜〜〜〜
浦久 指揮者から見た理想のオーケストラとは?
山田 自分のイメージというか、アイディアを具現化してくれるオーケストラが、理想のオーケストラということになると思うんですよ、ふつうはね。
浦久 では、そのイメージを持っていない指揮者の場合はどうなるのかな?
山田 ほらきた(会場笑)。
〜〜〜〜〜
山田 観客のみなさんがちょっとかわいそうって思うこともある。
浦久 緊張感を強いられて?
山田 指揮者が棒を下ろすまで拍手はするなとか。あれ、やめてほしいですね。だからぼくは、あえて指揮棒をずっと上げておこうかなって(会場笑)。
〜〜〜〜〜
浦久 日本では、みんなで歌って踊って、わいわいいう音楽のほうが、はるかに長い歴史を持っていた。
山田 なるほど。日本人は劇場から飛び出して、盆踊りをしよう(笑)と。
〜〜〜〜〜

日欧の文化を知悉し、コンサートプロデュースや文筆でユニークな活動を続ける文化芸術プロデューサー・浦久俊彦と、現在もっとも多忙な音楽家のひとりとして世界中を飛びまわりながら、日本の音楽界にラディカルな問いを投げかける指揮者・山田和樹が、「クラシック音楽の明日」についてガチンコ対談。

山田が実演家として現場的・実践的疑問を提示すれば、浦久が古代から現代までの音楽思想や人文科学の知識を総動員してガチで答え、浦久が大風呂敷の「音楽文化改革案」を提示すれば、山田がカリスマ指揮者の余裕で全肯定!

抱腹絶倒の対話は、コロナ禍にあえぐクラシック音楽界への福音となるのか!?

2019年4月と2020年2月に代官山ヒルサイドテラスでおこなわれた4日間の対談と、その後コロナ禍のなか2020年5月に「朝カルオンライン」でおこなわれた特別対談を完全収録。

内容詳細

[目次]

 はじめに(山田和樹)

第1日
宇宙は指揮できるか

 ふたりの出会いのことなど、やや長いまえおき
 この対談のルールについて
 宇宙は指揮できるか?
 指揮が先か? 音楽が先か?
 電気ノイズのない音世界
 ホールとプロデューサー不在の問題
 宇宙の音楽はどこにあるのか?
 数の世界と、数字という言語
 虹を指揮してみる
 指揮者は、空気を読む仕事?
 リベラルアーツと数の問題
 音楽史の噓とハーモニーの謎
 自然界には「直線」がない?
 音楽のなかの時間 音楽の外にある時間
 指揮者が生きる時間
 観客がかわいそう?
 参加者からの質問 対談の終わりに
 音と色を考えてみる
 オーケストラの響きが、人の声に聞こえるとき

第2日
オーケストラに未来はあるか

 オーケストラはどこへ行く?
 音楽とは何か?に向き合うことについて
 軍事制度としてのオーケストラ
 西洋の時間 日本の時間
 雅楽にオーケストラの未来を見る?
 山田和樹の見た海外のオーケストラ
 指揮者とオーケストラの微妙な関係
 オーケストラは、社会の縮図?
 山田和樹、日本のオーケストラを語る
 山田和樹とスイス・ロマンド管弦楽団
 オーケストラの感動率とヘタウマの微妙な関係?
 うまいオーケストラ ヘタなオーケストラ
 感動する演奏とは?という深〜い話
 演奏会の空気が重すぎる?
 エンタテインメントとしてのオーケストラ
 歴史から読み解く、オーケストラ文化
 権力としてのオーケストラ
 指揮者は、海賊船の船長?
 バロックという浪費の時代とフランス革命の功罪
 革命期の混乱と、貴族的価値観の喪失
 オーケストラは世紀の楽器?
 日本のオーケストラは、日本の文化になったのか?
 クラシック音楽は、いつからエラくなったのか?
 山田和樹、怒りの大学生時代を語る
 西洋人のハーモニーと日本人のハーモニー
 クラシック音楽がガラパゴス化する日
 参加者からの質問 対談の終わりに

第3日
プロか? アマか? 生き残るのはどっちだ?

 キャッシュレス時代とクラシック音楽
 文化としてのクラシック音楽を守るのは、誰だ?
 プロフェッショナルとアマチュアリズムの違いを考える
 天才がいっぱい? 合唱団がいっぱい?
 佐村河内守『交響曲第一番』に、もういちど向き合ってみる
 「佐村河内事件」は日本クラシック業界のタブーか?
 作曲家たちと反宗教の深〜い闇?
 バッハは革命家だった?
 アマチュアがプロよりも「生き残れる」方法?
 オーケストラは「公共財」なのか?
 音楽をやって生きていくということ
 AI時代のプロとアマチュアは、どうなる?
 加速するAIを止められるか?
 ドイツ精神と国民性について
 ドイツ絶対音楽とプロ&アマチュアの誕生
 ふたたび「プロとアマチュア」を考える
 「本業」と「道楽」の時代よ、ふたたび!
 山田と浦久の凸凹コンビ南の島に行く?
 参加者からの質問1 プロらしさとは何か?
 参加者からの質問2 ふたつのドイツについて
 ふたつのドイツ
 オーケストラの気質について

第4日
理想のオーケストラとは?

 いきなりシリアスな組織論?
 社会の縮図としてのオーケストラ
 理想のオーケストラというテーマについて
 ストレスが芸術を育むということ
 クレモナの名器と樹木のストレス
 プロとアマチュア 音楽の理想はどこにある?
 音楽に命をかけるということ
 芸術家に明日があってはいけない
 指揮者、山田和樹の原点
 「最低のオーケストラ」とは?
 指揮者は、なぜ「マエストロ」と呼ばれるのか?
 オーケストラと「家族」になる
 あえて、みんなを「怒らせる」
 オーケストラにストレスをかける方法とは?
 「余白を残す」ということ
 理想の観客とは?
 観客が演奏に参加するということ
 演奏者も客席とコンタクトしたい!
 観客の存在があるから、音楽ができる
 指揮者は演奏事故にどう向き合うのか?
 次回のテーマは「資本主義とオーケストラ」に決定?
 オーケストラ・モデルの視点をずらしてみる
 オーケストラという「システム」

特別編
コロナ後の文化・芸術 凸凹論

 ふたりの出会いのことなど、やや長いまえおき
 問題はコロナ後なのか? それともコロナ前なのか?
 劇場が消えてなくなる日
 音楽文化は「不要不急」なのか?
 コロナ時代の文化はどうあるべきか?
 なぜ、いま文化が必要なのか?という問いに向き合う
 「文化」の意味を、あらためて考えてみる
 「芸術」は日本語ではない?
 日本語ではない翻訳語たち
 人間がアートだ!
 芸術家は職業なのか?
 芸術ははたして公共財なのか?
 アートとしての芸術と、文化としての芸術
 自然は人間より偉いのか? 人間が支配すべきものか?
 「芸術」は「アート」の訳語ではない?
 「アートとしての芸術」とは?
 「文化としての芸術」とは?
 西洋文化を知ることは、日本文化を知ることでもある
 マスク社会は音楽を殺す?
 山田和樹が語る「文化」と「芸術」とは?

 おわりに(浦久俊彦)

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読書メーターレビュー

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  • trazom さん

    「宇宙は指揮できるか」「オーケストラに未来はあるか」「プロか?アマか?生き残るのはどっちだ」「理想のオーケストラとは」という4つのテーマでの対談。西洋文化に対する深い知識の浦久俊彦さんと次代を担う人気指揮者・山田和樹さんの対談は、気宇壮大で個々のネタは面白いけれど、「オーケストラは公共財か」「プロとアマの違いは何か」「文化は不要不急か」などの本質的な議論が深まらないのが残念。何より、1頁の中に(笑)の文字が何か所も登場する対談記録は、当事者が盛り上がるほど、読む者がどんどん白けてゆくという典型的な失敗例。

  • ひばりん さん

    気鋭の指揮者と音楽Pの対談本。良い問いがたくさん出ている。「オーケストラに未来はあるか」「宇宙は指揮できるか」「理想のオケとはなにか」etc...。明快なアンサーが与えられるわけではなく、愚痴っぽくなる場面もみられるが、時間と空間の無限遠から音楽を考え直す大らかな姿勢に元気をもらえる。ヒントとなるような社会史的知識や経験談が散りばめられて緩やかなゼミのような雰囲気。ただ…音楽を「歌」に還元する山田氏の姿勢は、不用意に過ぎないか。歌と非-歌に引き裂かれる楽器奏者の最前線が見えていない。本気で反省して欲しい。

  • ニョンブーチョッパー さん

    ★★★★★ 先月読んだ『ベートーヴェンと日本人』の著者だとは知らずに図書館で借りる。本のタイトルも目を引くものだけれど、第1章の章題の「宇宙が指揮できるか」はぶっ飛んでるw。お二人の対談は、オケの深い話を中心に世の中のことも含めて、(対談は数年前だけど)今現在の話という感じがして、とても身近に感じられた。ディープな話以外にも、話の脱線もまた楽しい。こんな「音楽対談本」また読めたらいいな。

  • 近江 さん

    音楽プロデューサーと世界を股にかけるオーケストラ指揮者の音楽対談。オーケストラの未来についての話、ではあるものの、その過去、西洋と日本それぞれでどのように成り立っていったかだけでなく、社会、哲学、金銭との関わりやプロアマの境界線、「オーケストラは社会の縮図」といった捉え方などお互いの経験知識から様々な話に広がっていき、知的好奇心がとても刺激される本。音楽家はなかなか考えていることを言葉にできないからこそ、という思いもあって生まれた本は音楽だけにとらわれない現代の不安全般への考え方の示唆になる本

  • Go Extreme さん

    宇宙は指揮できるか: 指揮が先か? 音楽が先か? 指揮者は、空気を読む仕事? リベラルアーツと数の問題 自然界には「直線」がない? オーケストラに未来はあるか: 軍事制度としてのオーケストラ 西洋の時間 日本の時間 オーケストラは、社会の縮図? 指揮者は、海賊船の船長? プロか? アマか? 生き残るのはどっちだ?: キャッシュレス時代とクラシック音楽 理想のオーケストラとは?: 社会の縮図としてのオーケストラ コロナ後の文化・芸術 凸凹論: 問題はコロナ後なのか? それともコロナ前なのか?

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浦久俊彦

文筆家、文化芸術プロデューサー。1961年生まれ。(財)欧州日本藝術財団代表理事、代官山未来音楽塾塾頭。サラマンカホール音楽監督として企画した『ぎふ未来音楽展2020』が、サントリー芸術財団第20回佐治敬三賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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