神様のボート 新潮文庫

江國香織

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784101339191
ISBN 10 : 4101339198
フォーマット
出版社
発行年月
2002年06月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
16cm,286p

内容詳細

昔、ママは、骨ごと溶けるような恋をし、その結果あたしが生まれた。“私の宝物は三つ。ピアノ。あのひと。そしてあなたよ草子”。必ず戻るといって消えたパパを待ってママとあたしは引越しを繰り返す。“私はあのひとのいない場所にはなじむわけにいかないの”“神様のボートにのってしまったから”―恋愛の静かな狂気に囚われた母葉子と、その傍らで成長していく娘草子の遙かな旅の物語。

【著者紹介】
江国香織 : 1964(昭和39)年東京生れ。短大国文科卒業後、アメリカに一年留学。’87年「草之丞の話」で「小さな童話」大賞、’89(平成元)年「409ラドクリフ」でフェミナ賞、’92年『こうばしい日々』で坪田譲治文学賞、『きらきらひかる』で紫式部文学賞、’98年『ぼくの小鳥ちゃん』で路傍の石文学賞、2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞を受賞。『都の子』『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』等、著書多数。絵本の翻訳も多い。瑞々しい感性から紡ぎだされる作品世界で、多くの読者を魅了している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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透明感のある文体で、すっと吸い込まれる。...

投稿日:2021/06/29 (火)

透明感のある文体で、すっと吸い込まれる。 高校生ぐらいのころに読んだ時は、葉子の気持ちがわからなかった。 ずっと大人になってから読むと、こういうこともあるよなってどこか思ってしまって、少し共感してしまうところもあった。それがいいことなのか悪いことなのかはわからないけれど。

えびまよ さん | 東京都 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ヴェネツィア さん

    こんなタイトルを付けてしまうところが江國香織さんらしい。児童文学作家として出発した彼女にとっては、自然なことであったかも知れないが。さて、本書は母親の葉子と娘の草子が交互に語りを担当する構成を取っている。それぞれの文体の語り分けには工夫が必要だっただろうが、そのあたりは作家の得意領域か。また、全篇を漂う抒情性もいい感じだ。草子の成長と、それに伴う息苦しさもよく書けている。ことに、「ママはパパと旅に出たことは一度もない」と草子が看破する辺りは秀逸だ。エンディングは読者の想像通りとはいえなんとも残念である。

  • さてさて さん

    『小さな、しずかな物語ですが、これは狂気の物語です』と語る江國香織さん。そんな江國さんが綴るこの物語は、いつまでも現実を見ようとしないでひたすらに過去に生きる母親と、それを反面教師とするかのように現実を見据え、今を生きる娘の極端なまでの生き様の違いを見るものでした。『骨ごと溶けるような恋』にいつまでも執着する母親の狂気の中に、人が一人の人をいつまでも愛し続けるということの意味を深く考えさせられるこの作品。いつまでも待ち続けるという強い思いの先にどんな解が待つのかを見てみたい、そんな風にも感じた作品でした。

  • ちょこまーぶる さん

    読み始めは、微笑ましい母娘の関係だなと思っていたが、読み進めていくうちに葉子には共感できなくなってしまったし、恐怖すらも感じてしまった。子どもである草子の生き方に親の生き方を当てはめてはいけないんじゃないだろうかとも思ってしまい、高校で家を出ていく草子にホッとしてしまった。皆さんの感想を見ると、再読している人が非常に多いような気がする。何回か再読しなければ、この作品の本意は解らないのではないだろうか。いつの日か再チャレンジ本とする。

  • ソルティ さん

    静かに綺麗な言葉で、大きな変化なく淡々と進むお話だけど、信じ過ぎるが故に狂気じみてる。母は夢の世界に生きていて、娘は成長と共に現実を見るようになって⋯。ずっと夢の中にいた方が幸せだったかも。1度ここに来ましたよ、なんて聴いてしまったら、私だったら、同じ想いだった喜びと、もう会えない悲しさで号泣してしまいそう。胸が締め付けられる。「まほちゃんにはあきれられてしまうだろうけど、私はあの人を疑ったことがない。絶対にみつけてくれると約束した。私がどこにいても、なにをしていても、絶対にさがしだしてくれると。」

  • エドワード さん

    どこか夢見がちな母親・葉子はピアノ講師とカフェ勤めをしながら、ひとつところにとどまらず一人娘・草子と旅からすを続けている。いつか必ずパパが私達を見つけてくれると信じながら。草子が幼いうちは二人の心は寄り添って平穏に暮らしているが、中学生になり草子の自我が目覚めていく。その過程を江國香織らしく、こどものようにイノセントな母の視点と成長していく娘の視点を見事に交差させて描いていく。二人の心の交流には、草子と同世代の子供を持つ私にはじんと来るものがある。この作品は江國香織の最高傑作だと思う。

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