私の男

桜庭一樹

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784163264301
ISBN 10 : 4163264302
フォーマット
出版社
発行年月
2007年10月
日本
追加情報
:
20cm,381p
20cm,381p

商品説明

消費されて終わる恋ではなく、人生を搦めとり、心を縛り支配し、死ぬまで離れないと誓える相手がいる不幸と幸福。
優雅で惨めで色気のある淳悟は腐野花(くさりのはな)の養父。物語はアルバムを逆から捲るように、二人の過去へと遡る。震災孤児となった十歳の花を若い淳悟が引き取った。空洞を抱え愛に飢えた親子には、善悪の境も暗い紋別の水平線の彼方。そこで少女を大人に変化させる事件が起き……。黒い冬の海と親子の禁忌を、圧倒する恐さ美しさ、痛みで描ききる著者の真骨頂。

内容詳細

優雅だが、どこかうらぶれた男、一見、おとなしそうな若い女、アパートの押入れから漂う、罪の異臭。家族の愛とはなにか、超えてはならない、人と獣の境はどこにあるのか?この世の裂け目に堕ちた父娘の過去に遡る―。黒い冬の海と親子の禁忌を圧倒的な筆力で描ききった著者の真骨頂。

【著者紹介】
桜庭一樹 : 1999年「夜空に、満天の星」(『AD2015隔離都市ロンリネス・ガーディアン』と改題)で第1回ファミ通えんため大賞に佳作入選。2003年開始のGOSICKシリーズで多くの読者を獲得し、04年に刊行した『推定少女』『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が高く評価されて注目を集める。2006年に刊行した『赤朽葉家の伝説』で第60回日本推理作家協会賞を受賞。今もっとも活躍が期待される新進作家である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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作者独特の文体は以前と変わらず、それも魅...

投稿日:2009/11/14 (土)

作者独特の文体は以前と変わらず、それも魅力になっていると思う。話は、面白い。読書をしっかり楽しめた。

モクセイ さん | 山口県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 遥かなる想い さん

    読んでいてトマスクックの雰囲気を感じていた。義父の描写が怪しげでよい。現在から過去に遡っていく過程で、徐々に真実をあぶりだしていく筆力は読者を飽きさせることがない。

  • めろんラブ  さん

    限りなくインモラルな内容。「親」という存在が持つ精神的・肉体的・物理的な支配力とそれに翻弄される子供という構図は他の桜庭作品に通じるものですが、これは重さや濃さにおいて群を抜いています。おもしろい!とにかく物語としておもしろいです。各章に「しかけ」や「あそび」があり、まんまと引っかかりながら読了。これだけの内容にもかかわらず、読後感が悪くないのは、リアルな部分とファンタジックな部分のバランス故か。映像化されるとしたら(たぶん無理)淳悟役はトヨエツかオダジョーなどでいかがでしょう?

  • 風眠 さん

    こういう話を「美しい」とか思っちゃいけないのかもしれないけれど、心の芯が絶対零度的な圧倒的哀しみに満ちているのに、そこに安らぎを見出し、互いに依存しあう「二人の世界」が美しいと思った。二人は父と子の関係であるから、常識的に見れば絶対に許されることではないし、あってはならないことだ。そう思うのだけれど、桜庭一樹の書く文章は私から「常識的」な考えを奪っていく。「繋がっている時だけ、私が親になって、父親が子どもに戻る」という部分で離れられない二人が切ない。どこにも行けない、何も生み出さない、愛が痛い物語。

  • sk4 さん

    男の欲望って銃や大砲みたいなものだけど、女の欲望ってのはブラックホールだと思う。 男は女の欲望を満たしたくて自慢の銃や大砲を撃ちまくるんだけど、なにしろブラックホールは底無しだからどんだけ撃ち込んだって満たされる事は無い。 大抵の女は自分のブラックホールときちんと折り合いながら生きてくものだけど、中には制御不能なほど大きくなっちゃってる者もいる。 腐野花。 腐野淳悟という巨大で昏い大砲を受け止めるために、手に負えないほどブラックホールを巨大化させて全てを飲み込む少女。

  • kariya さん

    世界に二人きりならいいのに。一人の人間になれればいいのに。そう願う程に、男と娘の関係は近くて異常で完全だった。家族を全て亡くした幼い花は、親戚の青年淳悟に引き取られる。やがて長じた花の婚礼の後に淳悟は姿を消す。他を顧みず手に掛けさえして父娘が守ったものは、男が得られない者の似姿を幼い娘に植え付けた行為は愛なのか。己も相手も殺さずに最後に消えたことこそ、二人の知り得ない真の愛情ではなかったか。答えを残さず男は消える。淀んで甘く完璧な愛情の記憶の中に、娘をただ一人置き去りにして。

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