ロマンス 文春文庫

柳広司

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784167838867
ISBN 10 : 4167838869
フォーマット
出版社
発行年月
2013年11月
日本
追加情報
:
311p;16

内容詳細

ロシア人の血を引く白皙の子爵・麻倉清彬は、殺人容疑をかけられた親友・多岐川嘉人に呼び出され、上野のカフェーへ出向く。見知らぬ男の死体を前にして、何ら疚しさを覚えぬ二人だったが、悲劇はすでに幕を開けていた…。不穏な昭和の華族社会を舞台に、すべてを有するが故に孤立せざるを得ない青年の苦悩を描いた渾身作。

【著者紹介】
柳広司 : 1967年生まれ。2001年『贋作「坊っちゃん」殺人事件』で朝日新人文学賞受賞。2009年『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • カナン さん

    やるせない、という思いでただ涙が滲む。時は昭和初期、ロシアの血を引く子爵清彬の親友、嘉人に殺人容疑がかけられた日から歯車は狂い始めた。天皇制への不満、押し寄せる華族不要論、共産主義に侵食され左右に揺れる視界、激動しぎりぎりと捻じれていく社会の中で、誰かのためにという精神論だけが空回りしていく。紫煙の中で碧に透けるアブサンの香り。小鳥の胸から溢れた赤。糸を切られたマリオネット。理想は手に届かないからこそ理想として在り、あの日見上げた青い空は何処にもなく、小さく真似た発砲音と共に、彼のロマンスは事切れたのだ。

  • ばう さん

    ★★切なく物悲しい気持ちで読了。麻倉子爵の親友にかけられた殺人の疑いから始まるこのお話は、舞台となる昭和8年の日本の軍部、特高、共産主義者などの状況も絡んでスピーディーに展開していきます。「ロマンス」とは、つまり憧憬、叶わぬ夢?主人公の清彬が青空を清々しい気持ちで見上げることの出来る日が来ますように、と祈るような気持ちで本を閉じました。

  • ぺぱごじら さん

    柳広司さんの描く戦前の薄暗い空気の匂いにいつも惹かれてしまう。昭和8年、大正浪漫の残滓と挙国一致の生臭さが混交する不安定な時代を、どこ吹く風とばかりに飄々と生きる帰国子女で混血の華族青年。『日本人だが、日本人らしくない』『華族だが、皇家の藩屏足り得ぬ輩』彼の居場所は何処にもあるが何処にも安らぎは、ない。それでも時代をさまよう彼の心にあるのは、あの日酒場で見た曇りない青空。遠くの的を射抜くような鋭い眼は、生き抜く為には大切だが、実は人は鈍く騙され易い方が幸せなのかとすら感じる切ない物語。2013-185

  • えこ さん

    タイトルは『ロマンス』ですが、男女の恋愛中心のお話ではありません。でも、明治期の異国の文化の影響を受けた華やかな雰囲気はありました。華族の生活や軍人の思想が入りまじり、『ジョーカーゲーム』に負けず劣らず面白かったです。

  • 絳楸蘭 さん

    昭和のはじめの華族ってだけでテンションあがる!優雅できらびやかな中に見え隠れする、どこか艶かしくて閉ざされ、廃れていく感じがしっかり出ている。自分の中のロマンスの意味がちょっと増えた。

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柳広司

1967年生まれ。2001年『贋作「坊っちゃん」殺人事件』で朝日新人文学賞受賞。09年『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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