ラドゥ・ルプーは語らない。 沈黙のピアニストをたどる20の素描

板垣千佳子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784865592450
ISBN 10 : 4865592458
フォーマット
発行年月
2021年11月
日本
追加情報
:
232p;19

内容詳細

目次 : ■写真でたどるラドゥ・ルプー / ■はじめに(板垣千佳子) / 【partI 20のインタビューと寄稿によるラドゥ・ルプーの物語】 / ■寄稿|サー・アンドラーシュ・シフ|ピアニスト / ルプーに捧ぐ / Hommage a Lupu / ■インタビュー|ミッシャ・マイスキー|チェロ奏者 / ラドゥとの出会いはとても重要で、音楽づくりは私にとって特別な時間でした。 / ■寄稿|ボリス・ペトルシャンスキー|ピアニスト / モスクワでのルプーとの思い出は私の記憶に深く焼きついています。 / ■寄稿|アンヌ・ケフェレック|ピアニスト / 最初の音を聴いた瞬間に心に広がった感動と賞賛を一生忘れないでしょう。 / ■インタビュー|チョン・キョンファ|ヴァイオリニスト / ラドゥの音楽の魔法の力によって聴き手の魂は天空へと放たれます。 / ■インタビュー|ディディエ・ド・コッティニー|オーケストラ事務局長 / 友人として、録音嫌いのラドゥをもう困らせたくないのです。 / ■インタビュー|ジェシカ・ナスミス&ロビン・ラフ|マネージャー、BBCディレクター / インタビューを受けない理由──「何か語れるとしたら音楽を通してだけだ」 / ■インタビュー|ガスリー・リューク|ピアニスト / 数多く聴いたラドゥの“歌”。衝撃のあまりピアノの前に座れなくなったことも。 / ■寄稿|ジェニー・フォーゲル|マネージャー / あわやキャンセル、ニューヨークの凍える夜の散歩 / ■インタビュー|ヘレン・ターナー|マネージャー / 誇り高き完璧主義者。でも、マネージャーを困らせる人ではありませんでした。 / ■インタビュー|ダニエル・バレンボイム|指揮者、ピアニスト / ラドゥとは音楽を通してお互いを知り尽くしているので、特別な親近感を感じます。 / ■インタビュー|フランツ・ウェルザー=メスト|指揮者 / ラドゥと共有した「美しさの追求」。私たちは音楽的に理解しあっていました。 / ■寄稿|フィリップ・カサール|ピアニスト / ラドゥ・ルプーが小声で明かしてくれる内なる世界の景色。 / ■インタビュー|ジャンンエフラム・バヴゼ|ピアニスト / 人生に迷う私にラドゥが教えてくれた音楽づくりの哲学。 / ■インタビュー|ミシェル・ブランディス|調律師 / それはピアノの音ではなく、「ラドゥ・ルプーの音」なのです。 / ■インタビュー|ネルソン&ルスダン・ゲルナー|ピアニスト / 魅力と発見にあふれたアドバイス。彼の言葉はすべて私の心に刻まれています。 / ■インタビュー|ユリアンナ・アヴデーエワ|ピアニスト / ラドゥのロシア語はとても豊かです。聞き上手で、いつも何かを与えてくれる人です。 / ■インタビュー|チョ・ソンジン|ピアニスト / 「教えない、聴くだけだよ」ラドゥのローザンヌでのレッスンで── / ■寄稿|スティーヴン・イッサーリス|チェロ奏者 / ラドゥ・ルプーとの旅の軌跡 / ■寄稿|エリザベス・ウィルソン|作家 / ラドゥ・ルプー ──モスクワでの学生時代の思い出をたどって。 / 【partII ルプーのほうへ(青澤隆明)】 / ■ルプーの音楽はどこからやってきたのか / ■物語の終わりに(板垣千佳子) / ●ラドゥ・ルプー 年譜 / ●ラドゥ・ルプー 日本公演の記録 / ●ラドゥ・ルプー ディスコグラフィー

ユーザーレビュー

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2022年4月17日、76歳でラドゥ・ルプーが逝...

投稿日:2022/04/20 (水)

2022年4月17日、76歳でラドゥ・ルプーが逝去した。早すぎる引退、そして死。私が彼の実演に接したのは1度のみ。今でも大切な思い出として残っている。おそらくこの本で登場した音楽家たちもそれぞれの思い出を持っていることだろう。その思い出やルプーへの敬愛の気持ちを語っている。音楽家の「業績」を振り返るならCDなどの音楽を聴けばよい。しかし、ルプーのそれはその業績と比べると残念なほど少ない。(そのどれもが魅力的なディスクであるのは言うまでもない) ラドゥ・ルプーという名の音楽家・芸術家の人となり(ほんの一面にすぎないだろうが)を表すために集められた「素描集」。この本を読みつつ、彼の演奏したCDを合わせて聴くことで彼の死を悼みたい。

うーつん さん | 東京都 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • trazom さん

    私がルプーさんを聴いたのは2回。いずみホールの舞台を暗くして奏されたシューベルトの変ロ長調ソナタは一生忘れない。そのルプーさんが3年前に突然引退。メディアや収録を嫌う当人に代わり、20人の偉大な芸術家たちがルプーさんを語る。「ルプー・タッチ」による独特のピアニズムばかりが注目されるが、作曲や指揮を勉強し、交響曲のトランスクリプションを楽しむこの人の宇宙は、ピアノという楽器を超えていると実感する。偏屈者に見えるが「その作品が私を好きでない」というルプーさんの言葉遣いがいい。演奏家としての謙虚さがそこにある。

  • やいっち さん

    名うての演奏家や聴き手が、その演奏に接した瞬間、魅せられ忘れられなくなってしまうという至高のピアニスト。「伝説のピアニストとなったルプーの素顔を、彼を敬愛する20人の音楽家、関係者などの寄稿やインタビューで描きだす」というもの。演奏するルプーがそこにいる、音は今そこで鳴っている。が、誰も真似のできない世界が脈動する。

  • どら猫さとっち さん

    「千人に一人のリリシズム」と称された世界的ピアニスト、ラドゥ・ルプー。彼はインタビューを好まず、自らのことを語っていなかった。そんな彼について、演奏家やマネージャー、生徒たちが語っていく証言集。音楽についてストイックで厳格だったピアニストは、温かみのあるロマンティシズムを併せ持っていた。そうして聴いてみるシューベルトやベートーヴェンなどは、美しいだけでない、音楽に秘められた真実があるような気がする。

  • コチ吉 さん

    シューベルトの即興曲を聴きたいと思った時はルプーのCDを取り上げる。千人に一人のリリシストと呼ばれるルプーだが、その真髄は「音楽がピアノを弾いて、ピアノがピアニストのために音楽を奏でる」という彼自身の言葉に集約されるのかもしれない。彼のもとに集う音楽家仲間との交流はまるでシューベルディアーナではないか。

  • ろべると さん

    ルーマニアのピアニストで先頃引退したラドゥ・ルプーは、シューベルトを得意とするリリシストにして、一切のインタビューを拒否する偏屈者という印象があった。髭もじゃの特異な風貌も怪僧ラスプーチンのようだ。日本でのエージェントとしてルプーと親しく交際した筆者がまとめた、親交のある人たちからのインタビュー(だって本人が語らないから)などをまとめた本書からは、自分に厳しいながらもユーモアに溢れ、また若手の指導にも力を注ぐ、これまで知らなかったルプーの姿が明らかになる。改めて彼の演奏に耳を傾けたくなった。

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