収録された初期作品はいづれもＳＦあるいはファンダジーといった性格の作品で、『史上最強の弟子ケンイチ』のキャラにゆかりのある作品のみ、チョイスされたとか。最近、週刊少年サンデーで連載が始まった『トキワ来たれり！！』ともキャラや設定が連想されるものがあり、興味深い一冊です。残念ながら、あまり印象に残る作品はなかったのですが、松江名俊さんのファンには見逃せないでしょうね。個人的に一番面白かったのは外伝の『それいけ　しぐれさん！！』。外国人少女・エレンの可愛らしくも本人にとっては深刻な悩みを、しぐれが見事に解決に導く、カラリと明るい笑いに満ちた好編です。近作のほうがより面白いのは作家が進化した証し。ますます最新作の展開にも期待が膨らみます。

週刊少年サンデーでの連載終了を機に読み直しています。少しも古びた印象はありませんね。少年マンガの王道をゆく、その力強さ。主人公・白浜兼一のキャラクターも素晴らしい。いじめられっ子でありながら、いじけたところがひとつもない気持ちのいいこの少年は、これからも優れた少年ヒーロー像のお手本のひとつとして生き続けることでしょう。第１巻では、梁山泊の師匠たちが登場するのが巻末ながら、ヒロイン・風林寺美羽との出会いを機に変化するケンイチの心情が自然に描かれており、初期の素朴な画風もそれはそれで楽しく、とても面白いと思います。連載終盤を楽しめた読者の方々にも、第１巻からの読み直しを、ぜひお薦めしたいと思います。