全員悪人

村井理子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784484212159
ISBN 10 : 4484212153
フォーマット
発行年月
2021年04月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
172p;19

内容詳細

《『兄の終い』で不仲の兄との別れを書いたエッセイストによる、新たな家族の実話》

「どちらさま? 誰かに似ているようですけれど」

私には居場所がない。知らない女に家に入り込まれ、今までずっと大切に使い、きれいに磨き上げてきたキッチンを牛耳られている。少し前まで、家事は完璧にこなしてきた。なんだってできました。ずっとずっと、お父さんのために、息子のために、なにからなにまで完璧に、私は家のなかを守ってきました。あなたはいつも、お母さんって本当にすごいですね、完璧な仕事ですよと言ってくれた。

あなたに一度聞いてみたことがある。なんなの、毎日代わる代わる家にやってくる例の女たちは? そしたらあなたは、「お母さん、あの人たちは、お父さんとお母さんの生活を支援してくださっている人たちなんです。介護のプロなんですよ」って言ったのだけど、こちらは家事のプロですから。――私は主婦を、もう六十年も立派に勤めてきたのです。

家族が認知症になった。
対話から見えた、当事者の恐れと苦しみを描く。

“老いるとは、想像していたよりもずっと複雑でやるせなく、絶望的な状況だ。そんななかで、過剰に複雑な感情を抱くことなく必要なものごとを手配し、ドライに手続きを重ねていくことが出来るのは私なのだろう。これは家族だからというよりも、人生の先達に対する敬意に近い感情だと考えている。(「あとがき」より)”

【著者紹介】
村井理子 : 翻訳家/エッセイスト。1970年静岡県生まれ。琵琶湖のほとりで暮らしながら、雑誌、ウェブ、新聞などに寄稿。著書・訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • いつでも母さん さん

    カバー画とイラストに油断して、沼にハマって今苦しい。【認知症】の症状とその過程は様々だけれど、本人の苦悩は想像するしかできない未知の世界。お母さんは怒りを抱えたんだ…この家族の葛藤が多少なりとも分かってしまうのが辛い。本人の焦りや不安、孤独と悲しみに私はどれだけ寄り添えているだろう。どんどん遣る瀬無さが膨れ、村井さんが事実に基づいて書かれている物語だと何度も確認してしまった。200ページにも満たない厚さなのにズシリと重い読書だった。あとがきを読んで、村井さんは受容されたのだろうなと感じた。私はまだ遠い…

  • 青乃108号 さん

    先日読んだこだまさんのエッセイで紹介されていたので読んでみた。びっくりするくらいアッと言う間に読める本。認知症の母視点で描かれた彼女の日常。残念ながら著者の意図は十分に伝わっているとは言い難い。笑いに寄せるのかシリアスな現実を突き付けるのか、どちらでもない中途半端な内容。実際に認知症患者を抱えた家族の心労はとてもこんな物ではありません。一冊の本として出版するにはかなり内容不足。ほんの少しだけ、俺の亡き母もこんな風に不安だったんだな、辛かったろうなとしんみりはさせられたけど。今年最後の一冊にはしたくない。

  • bunmei さん

    この世に生まれし誰もが歳を取り、老いていく運命。病に身体が蝕まれ、死を迎える人もいる。また脳の衰えによる認知症によって、社会に適応できなくなり孤立していく人もいる。本作では、認知症を患った義母の視線で綴られているので、義母がこれまでとは違う違和感から生じた、怖れや怒り、傲慢な解釈等が描かれている。自分の父親も亡くなる2年は認知症が進行し、介護していた母親の手を焼かせ、厳しく諫めた場もあった。しかし、本作の義母の言動と重なる部分も幾つかあり、改めて、その時の父の思いに、少し寄り添えたようにも感じた。  

  • モルク さん

    認知症の義母の語り。もちろん本人は健康で頭もしっかりして…のつもり、認知症なんてつゆとも思っていない。だから人がしてくれることに悪意を感じ全てに疑心暗鬼となりその上嫉妬深い。あっという間に読み終えて、面白い…と言うべきなのだろうか。数年前までの長い母の介護を思いだし切なくなる。否定しないで受け入れて…と言われたが四六時中となるとこちらの身が持たない。真夜中でも知人に電話をかけそして私が怒られる。あの悪夢の日々…今度は自分が迷惑をかけてしまう立場になるのが怖い。

  • fwhd8325 さん

    これが認知症なのか。確かにこのような状況に遭ったことがあります。全員悪人とはなかなか言い得て妙なタイトルだと思います。もっと愉快に読めるものかと思っていましたが、案外シリアスに感じてしまった。

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