基本情報
内容詳細
民話やおとぎ話の動物と人間の関係、寓話やファンタジーに登場する精霊、『シートン動物記』と動物保護、狩猟と男性性、冒険物語を脱構築する動物――それらを文学や芸術はどのように描いてきたのか。大江健三郎、多和田葉子、松浦理英子たちの現代の「動物作品」は何を表象しているのか。
動物が人間よりも劣位に置かれる文化・構造を踏まえ、人間中心の視点を脱し、複数種(マルチスピーシーズ)の絡まり合いから作品や表象を読み解く。これに加えて、女性が男性から差別される非対称性に基づき、ジェンダーの視点も重ね合わせて多角的に分析する。
人間と動物を対立させる価値観を退け、エコクリティシズムやポストヒューマンの思想の潮流に棹さしながら、動物表象に潜む力学を浮き彫りにする。動物や人間、精霊をめぐる物語の森に分け入り、マルチスピーシーズやジェンダーなどの複合的な視野で作品の可能性を浮上させる新たなリーディングの地平。
【目次】
序文 マルチスピーシーズ物語の森のマッピング 村井まや子/熊谷謙介
第1部 記された〈動物〉と〈性〉
第1章 共苦による連帯とその失敗――大江健三郎「泳ぐ男」における性差と動物表象の関係を手がかりに 菊間晴子
第2章 多和田葉子の動物演劇の試み――『夜ヒカル鶴の仮面』から『動物たちのバベル』へ 小松原由理
第3章 皮膚感覚的快楽の果てをめざして――松浦理英子『犬身』論 熊谷謙介
第4章 マルチスピーシーズおとぎ話研究序説 村井まや子
第2部 多様な種の文化表象へ
第5章 銃を持つダイアナ――世紀転換期アメリカにおける狩猟とジェンダーをめぐる言説 信岡朝子
第6章 オーストラリア児童文学におけるアボリジナル文化――精霊の表象を手がかりに 鈴木宏枝
第7章 モクモク村のQちゃん――「野生」と「男性性」のクィア・リーディング 菅沼勝彦
第8章 中国ドキュメンタリーが描くコロナウイルス――章夢奇監督作品にみる子どもたちのウイルス表象 秋山珠子
【著者紹介】
村井まや子 : 神奈川大学外国語学部教授、おとぎ話文化研究所所長。専攻はおとぎ話文化、比較文学
熊谷謙介 : 神奈川大学国際日本学部教授。専攻はフランス文学・文化、表象文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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