恋歌

朝井まかて

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784062185004
ISBN 10 : 4062185008
フォーマット
出版社
発行年月
2013年08月
日本
追加情報
:
281p;20

内容詳細

第150回 直木賞受賞

あなたに逢いたい。命にかえても。
幕末の過酷な運命に翻弄された女の一生を描く感動作!


明治の歌塾「萩の舎」で樋口一葉の姉弟子に当たる三宅花圃が目にした手記には、師である中島歌子の心の声が刻まれていた。人気歌塾の主宰者として一世を風靡し多くの浮き名を流した歌子は何を思い、胸に秘めていたのか。
中島歌子は、幕末の江戸で熱烈な恋を成就させ、天狗党の志士に嫁いで水戸へ下った。だが、尊皇攘夷の急先鋒だった天狗党はやがて暴走する。内乱の激化にともない、歌子は夫と引き離され、自らも投獄され、過酷な運命に翻弄されることになる。
“君にこそ恋しきふしは習いつれ さらば忘るることもをしへよ”
代表歌に込められたあまりにも切ない真情。そして、歌子が下したある決断とは──。

【朝井まかて氏 直木賞 受賞コメント】
 無名の書き手である私が「歴史小説を書くぞ」という心構えもなく、むしろ時代小説と歴史小説のジャンルを意識することもないまま、幕末の水戸藩に身を置きました。
それは、主人公の中島歌子が恋をした相手がたまさか水戸の志士であったからです。彼女を書こうと思わなければ、幕末を舞台にした小説にはたぶん、今も手をつけていなかったでしょう。私にとってあの時代は、それほど難物でした。
実際、書き上げた後も、正直に申せば、読者は果たしてこの作品を受け入れてくれるだろうか、最後まで読んでくれるだろうかという不安はありました。従来の作品よりも遥かに重く、辛いシーンもあったからです。
ですが、私が想像した以上に読者は『恋歌』を真っ向から受け止めてくれた。それぞれの人生において読みこなし、面白いと言ってくれました。「直木賞」という評価も、そんな皆さんの支持が大きな熱となって作品に力を与えてくれたような気がしています。いえ、そうに違いないんです。一人の書き手として、この体験ができたことを感謝します。
これからまた、新しい作品に挑んでいきます。へえ、朝井はこんな世界も描くのかと目を瞠ってもらえるような小説を届け続けたい。時には評価が分かれたり、批判を受けることも怖れない、強い書き手になりたい。私が読者の皆さんにお返しできるのは、書くことしかありませんから。しぶとくやっていきます!

【読書各界からの絶賛の声、多数!】
葉室麟氏(直木賞作家)
女性はこれほどまでに恋を抱いて生きるのか。刺激になった。

縄田一男氏(文芸評論家・日本経済新聞2013年8月28日夕刊)
私はこの作品の後半を幾度も読み返した。そして読み返しながら、1人の作家の才能というものが大きく開花し、読者の心を鷲摑みにするさまを体験した。本書は、紛れもなく作者の最高傑作であり、本年度におけるベスト作品である。

大矢博子氏(書評家・産経新聞2013年10月20日)
どうしてこんなことになってしまったのか。その叫びが、慟哭が、鋭く読者の胸を抉る。やりきれない。たまらない。でも読むのをやめられない。後に、朝井まかて初期の傑作と呼ばれることは間違いない。必読の一冊である。

細谷正充氏(文芸評論家・週刊朝日2013年11月8日号)
天狗党を題材にした歴史小説には名作が多い。作者は、妻という視点を武器にして、これに挑んだ。その試みは、見事に成功した。徹頭徹尾、女性の立場から描くことで、本書は新たなる物語となった。構成も鮮やか。読みごたえのある作品だ。

【時代歴史小説・恋愛小説・女性小説、どこから見ても一級品。】
[時代歴史小説]
実在人物である主人公の生涯を忠実に追い、幕末の複雑な時勢や事件を曲げることなく折り込みながらも、著者独自の発見や着想を元に、まったくオリジナルな物語を生み出した。

[恋愛小説]
この時代には珍しい商家の娘と地方藩士の大恋愛。しかし、思いを遂げた後にも、二人の仲には、どうしようもない障害が幾度となく立ちふさがり、離ればなれに。

[女性小説]
物語の舞台は幕末から明治。女性の自立が難しい時代に、主人公も、その母までも、力強く自分の生きる道を切り拓いていく。これは闘う女性の生き方小説でもある。



【著者紹介】
朝井まかて : 1959年、大阪生まれ。2008年、第3回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞してデビュー。受賞作は『花競べ向嶋なずな屋繁盛記』と改題され、講談社文庫に収録されている。人の心の機微に触れる細やかな筆遣いと一筋縄ではいかない物語運びで、時代小説に新風を吹き込み、注目を集めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 遥かなる想い さん

    第150回直木賞(2013)。 明治初期「萩の舎」で 一世を風靡した中島歌子の 以徳への壮絶な恋の物語。 文体に静逸な安定感が あり、当時の雰囲気を読者に しっとりと味わわせてくれる。 幕末の水戸藩、林以徳に寄せる 登世の想いはしなやかで、揺るぎが ない。時代は安政の大獄以降の 水戸藩で、登世の視点から みた水戸藩内部の争いは 歴史小説としても面白い。 天狗党と諸生党の内紛、 妻子の処刑はむごく哀しい。 そして、物語の最後に明らかに なる真実とは…心に染み入る 物語だった。

  • ヴェネツィア さん

    物語を流れる時間は、花圃を語り手とする現在時(とはいっても明治25年)と、歌子の手記によって回想される幕末の二重構造をとる。そうした方法をとった理由は最後に明らかになるが、本書においては、いくつかの「邂逅」が深い意味を有していたのである。それはテーマそのものと深く関わると言ってもよい。幕末の水戸でこのような闘争の歴史があったことは知らなかった。巻末に掲げられた参考文献からすれば、おそらくは歴史的な事実に立脚して書かれているのだろう。登世(後の歌子)の人生は、時の運命に翻弄されるかのようであるが、その中で⇒

  • ミカママ さん

    やっと読めた・・・期待が大きかったので長いこと積んでたんですが。期待は裏切られませんでした。ひとめ会ったときから恋い焦がれ、やっといっしょになれたものの、運命に翻弄されたふたり。そして死ぬまで彼のことを想い続ける、という現代だとちょっとありえそうもない恋愛が、あの時代には確かに存在したのね。和歌は、昔暗記した百人一首以来だけれど、私のお気に入りは、実は若武者の小四郎が想い人のてつに残した辞世の句。「咲く梅は風にはかなく散るとても にほひは君が袖にうつして」あああ。

  • 風眠 さん

    「君にこそ恋しきふしは習ひつれ さらば忘るることもをしへよ」(恋することを教えたのはあなたなのだから、どうかお願いです、忘れ方も教えてください。)幕末から明治という激動の時代を生きた、歌人・中島歌子。一人のひとを想い、胸に秘めて、三十一文字に命をかけた女性。過酷な運命に翻弄されているようでいて、ブレない強さと覚悟で、筋を通した生き方が美しくて哀しい。どんなに愛しても、この世ではもう会うことができない。それでも愛する心を変えることができないのが、恋というもの。ただひとつの恋、口に出さない分だけ想いがつのる。

  • Hideto-S@仮想書店 月舟書房 さん

    幕末に生きた女性の烈しい恋。樋口一葉の師で、明治に一世を風靡した歌人・中島歌子は病床にいた。門下生の花圃は見舞い客への返礼を手伝うため師の私室に入り、そこで一束になった手記をみつける。それは歌子が若き日の恋の物語だった。尊皇攘夷の急先鋒だった水戸藩の林忠左衛門に嫁いだ彼女は、夫と共に藩内の勢力争いに飲み込まれていく。嫁ぎ先での疎外感、待ち続ける切なさ、そして憎しみの連鎖と、それに終止符を打つ決断。行き場のない思いを込めた「忘れ方を教えて」と詠んだ歌。ラストで明らかになる〈手記〉に託した思いに心が震えた。

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朝井まかて

1959年大阪生まれ。甲南女子大学文学部卒業。2008年『実さえ花さえ』(のちに『花競べ』に改題)で小説現代長編新人賞奨励賞を受賞し作家デビュー。14年『恋歌』で直木賞、『阿蘭陀西鶴』で織田作之助賞、16年『眩(くらら)』で中山義秀文学賞、17年『福袋』で舟橋聖一文学賞、18年『雲上雲下』で中央公論

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