サンクチュアリ 新潮文庫

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784102102022
ISBN 10 : 4102102027
フォーマット
出版社
発行年月
2002年08月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
16cm,426p

内容詳細

ミシシッピー州のジェファスンの町はずれで、車を大木に突っこんでしまった女子大生テンプルと男友達は、助けを求めて廃屋に立ち寄る。そこは、性的不能な男ポパイを首領に、酒を密造している一味の隠れ家であった。女子大生の凌辱事件を発端に異常な殺人事件となって醜悪陰惨な場面が展開する。ノーベル賞作家である著者が“自分として想像しうる最も恐ろしい物語”と語る問題作。

【著者紹介】
フォークナー : 1897‐1962。米国ミシシッピ州生れ。曾祖父は鉄道建設者・政治家・作家として知られた人物。第1次大戦で英国空軍に参加し、除隊後ミシシッピ大学に入学するが退学、職業を転々とする。地方紙への寄稿から小説を書きはじめ、米国を代表する作家の一人となる。’50年にノーベル文学賞を受賞した

加島祥造 : 1923年東京生れ。カリフォルニア大学クレアモント大学院修了。戦後、詩誌「荒地」同人となる。信州大、横浜国大、青山学院短大教授を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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「恐ろしい物語」というより、「陰惨だが、...

投稿日:2021/04/11 (日)

「恐ろしい物語」というより、「陰惨だが、よく分からないエネルギーを感じる物語」でした。 ノーベル文学賞の作品をあまり読んだことがないな、ちょっくら読んでみるか、と高校時代にチャレンジして敢え無く挫折してから20年。 30代半ばで読破しましたが、それほど読みづらくは感じませんでした。この作品の前に『アブサロム、アブサロム!』を読んでいたのも 大きかったかも知れません。言うまでもなく、あちらの一大叙事詩とはまた違った趣の作品です。 「今、何が起きているんだ?」と疑問を抱かせつつ先を読ませて、物語の焦点を絞っていくフォークナーの手法に慣れるまでが大変ですが、 慣れれば勢いで読めました。登場人物が時々上手いこと言うなあ、という箇所がいくつかあるのも読書を助けてくれます。 ただいまだにテンプルの心情がうまく理解できない、ベンボウは本当に負けたのか、など疑問点もあるので、いつの日かまた再読したいです。

murphy burnard さん | 兵庫県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ヴェネツィア さん

    フォークナーは、これまでに縁がなく初読。本書はヨクナパトウファ(ミズーリ州)を舞台にした一連の小説の第4作目にあたるようだ。ディープサウスの物語。しかも、時は禁酒法(1920〜1933年)の時代。物語全体に暴力的で荒んだムードとある種の倦怠感とが同居する。ポパイとテンプルの物語かといえばそうでもなく、また弁護士ベンボウの物語でもない。すなわち、プロットは単線的ではなく、複雑に交錯する、いわば「ないまぜ」のような構成をとっている。また、全体に謎の多い小説でもある。フォークナー初挑戦は返り討ち。再挑戦を期す。

  • buchipanda3 さん

    禁酒法が残る頃、アメリカ南部の町で起きた醜悪非道な事件とそれにまつわる人物たちを描いた小説。弁護士のホレスは正義が為されることが当然と考えるが、事件の結末は彼に人間社会の現実を知らしめる。題名は聖域、逃げ場を意味しており、本作では非合法の酒造場、刑務所、売春宿、ホレスの実家などが社会に傷ついた者の現実からの避難場として描かれる。しかし、世間という社会は自分らの聖域を侵す者としてそこから引きずり出し、改めて傷つける。それは悪者もか。ただルービーのみ残された希望のように先が描かれていなかったのが印象に残った。

  • のっち♬ さん

    禁酒時代、若い男女の自動車事故を発端とする醜悪陰惨な暴行の数々。無罪を主張する容疑者の弁護人が事件を追うのだが、暗喩表現にとどめた説明や複雑なカメラワークを駆使した場面展開など作風は実験的で、謎に満ちた男ポパイの人物像も相まって読み手をゾッとさせる。合法の世界も非合法の世界も相応の秩序があり、誰かがそれを跨げば不条理が連鎖する。理想主義者の弁護士がこの現実に屈する様が容疑者の妻を添えることで際立っている。登場人物たちの動機の多くが語られない点も人間の非合理性を強調しているようで、やや唖然としながらの読了。

  • ペグ さん

    瀧口直太郎氏の丁寧な地の文の美しさ。加島祥三氏の生き生きとした会話文。旧訳は今にもパラパラと解体しそうだったので優しく優しく、そっとページをめくる。それにしても(当然とは言え)フォークナーは1行も気が抜けないです。そしてわたしにとって一番引っかかったテンプルの偽証について考えています。やっぱり読み比べる読書、良かった!

  • NAO さん

    自分を辱めて売春宿に売ったのはポパイで、本当ならポパイを憎むべきなのに、テンプルは裁判でポパイについては全く語らず、グッドウィンに不利になる偽証をした。彼女の鬱屈した心理がもっと描けていたらと思うのだが、テンプル・グッドウィン・ルービーの表面には出てこないじりじりとした思いは、描かないことでかえって鮮明に浮かびあがってくるものなのかもしれない。また、グッドウィンが不条理な殺され方をしたことやそういった不条理さを生む南部の土地柄と、そういった土地でも生き残るルービーのような女性を作者は描きたかったのだろう。

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