海の東南アジア史 港市・女性・外来者 ちくま新書

弘末雅士

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784480074782
ISBN 10 : 4480074783
フォーマット
出版社
発行年月
2022年05月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
288p;18

内容詳細

近世から現代まで、ヨーロッパ諸国、中国、日本などから外来者が多く訪れ、交易をし、また植民地支配を行った東南アジア。そこでは、人喰いの風聞を広める人、現地人女性、ヨーロッパ人と現地人の間の子孫、華人などさまざまな存在が、外の世界と現地の間に介在していた。その様相を見ると、いかに多様な人々が各地に存在し、複雑な関係を持っていたか、各地の国民国家形成に影響を与えたかがよくわかる。主に東南アジア海域を舞台に、前近代と近現代、西と東をつなげる画期的な一冊。

目次 : 第1章 近世東南アジアの港市―多様なネットワーク(東南アジアの自然環境と人々/ 東西海洋交易活動と多様な来訪者/ 港市の社会統合と王権の強化/ 東南アジアの「人喰い」風聞と地域秩序)/ 第2章 外来者と現地人女性(東南アジアの女性と商業活動/ 外来商人と現地人女性/ 近世東南アジアにおける日本人の活動/ 植民地支配者と現地人女性)/ 第3章 近世後期の東南アジア社会―現地人首長とヨーロッパ勢力(清朝の隆盛と東南アジアの経済活動の活性化/ 社会統合と女性/ 海峡植民地と海賊/ 植民地支配と現地人有力者)/ 第4章 植民地支配の拡大と外来系住民(東南アジアにおける植民地勢力の拡大/ 植民地体制下の東南アジア社会の変容/ 植民地支配体制の確立と仲介役の変容/ 東インドのユーラシアンとニャイ)/ 第5章 新たな内と外の構築と国民国家(植民地体制下における諸集団の統合と分化/ 原住民と非原住民との結婚/ 日本占領期東南アジアの社会変容/ 国民統合への道程)

【著者紹介】
弘末雅士 : 1952年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科東洋史学専攻修士課程修了、オーストラリア国立大学大学院博士課程修了(Ph.D)。立教大学名誉教授、公益財団法人東洋文庫研究員。専門は、東南アジア海域史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • skunk_c さん

    東南アジアの基本的な歴史をしっかり押えながら、外来者(ヨーロッパ、中国)とそれをつなぐ女性(ニャイと呼ばれる外来者男性と現地で生活を共にする者)、そしてユーラシアンと呼ばれる混血や現地生まれの外地人(メスティーソ)が、どのように媒介となりながら社会が展開していったかを明らかにする。ニャイやユーラシアンは近代になりその意義を失っていくなど、時代により意味合いが異なるが、時代ごとの役割をきちんと位置づけている。一夫一妻制や女性の権利問題なども現代の価値観に引きずられず記述するなど多くの新しい知見を得た。良書。

  • サアベドラ さん

    近世〜近現代の東南アジア海域世界の展開を、外来者(華人、日本人、西洋人など)とそれをつなぐ現地妻やその子孫の観点から記述した新書。2022年刊。外来商人がひっきりなしに訪れる中近世の港市国家にとって、いわゆる現地妻とその子孫であるユーラシアンは外来者と現地人をつなぐ重要な存在だった。しかし、植民地化を経験し、国民国家を形成する段階に至ると彼女ら彼らは次第に周縁化し、最終的には現地人化するか外来者として去るかの二択を迫られるようになる。東南アジア独特の問題を扱っていて非常に興味深かった。

  • MUNEKAZ さん

    近世以降の東南アジア史を扱った内容だが、本書の面白いところは「ニャイ」と呼ばれる現地妻に着目した点。現代だといかがわしい香りもするが、近世東南アジアの港市国家にとって、外来者と現地住民を媒介する女性やその間に生まれた混血児たちは非常に重要な存在であり、社会的にも高い地位にいたことが示される。ただ近代以降の民族主義の勃興や独立運動の激化により、こうした女性や混血児は、植民地時代の犠牲者として周縁に追いやられ、マイノリティとなってしまう。「女性」「交易」「民族主義」とさまざまな視点が交錯する興味深い一冊。

  • かんがく さん

    タイトルの「海」要素よりも、副題の「女性・外来者」要素が多い。古代より様々な文化圏の人間が往来する東南アジアにおいて、現地人と外来者を媒介した人々に焦点が当てられている。特に外国人男性と結婚するニャイと呼ばれる女性たちが、時代によって現地からの見られ方が変わっていく様子が面白い。

  • ポルターガイスト さん

    独自の最新研究で東南アジア史を更新する試み。興味が少しありますというより,ある程度もう流れを掴んでいる人が読むといいと思う。ニャイやユーラシアンの位置づけが国民国家の形成とともに変質していく様が興味深い。ただこの手のテーマ史にありがちな,現代に近づくにつれて生じてくる竜頭蛇尾感は否めない。「『周縁』から眺める東南アジア史」の部分をもっと強調して,序盤で少し出てきた日本の絡みとか削いでもよかったと思う。個人的にはその部分が面白かったから,序盤で少し出てくると,最後まで出ることを期待してしまうんだな。

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